2005 Fiscal Year Annual Research Report
皆伐一斉造林施業にともなう土壌窒素動態の時空間的変動
Project/Area Number |
17780126
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
廣部 宗 岡山大学, 大学院環境学研究科, 助教授 (20363575)
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Keywords | 森林 / 林齢 / 土壌 / 無機化 / 硝化 / 斜面 |
Research Abstract |
森林施業を考慮した窒素循環機構の時空間的な変動を把握するための基礎的知見として,本研究では約80年輪伐により管理されているスギ人工林を対象に,林齢と地形(斜面上の位置)が土壌の窒素動態に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした. 京都大学フィールド科学教育研究センター和歌山研究林近郊のスギ人工林を調査地とし,調査地内の植裁後6年,16年,31年,42年,および90年の5林分を調査対象とした.調査対象林分の右岸斜面において,斜面に沿った尾根部から谷部まで等間隔に5つの土壌採取位置を設定し,それぞれの土壌採取位置で等高線方向に2m間隔で決定した5つの土壌採取地点から2005年7月に土壌を採取した.採取した土壌試料数は各林分で25サンプル,合計125サンプルである.採取した土壌について,実験室培養により純窒素無機化特性を測定したところ純硝化速度に違いがみられ,植裁後6年から42年までの林分では斜面の下部ほど純硝化速度が大きいのに対し,植裁後90年の林分では斜面の最下部のみ純硝化速度が小さかった.このような林齢による斜面に沿った純窒素無機化特性の変動パターンの違いを明らかにするため,採取した土壌サンプルについて全炭素・全窒素濃度やpHなど,土壌の純窒素無機化特性の決定要因と考えられる理化学的特性の分析を継続している.また,純窒素無機化特性を測定した5林分において,土壌内の無機態窒素移動量を測定するため斜面最上部と最下部にイオン交換樹脂を埋設した.イオン交換樹脂回収後に埋設期間中に吸着された無機態窒素量を測定することにより,林齢と斜面上の位置による純窒素無機化特性の違いと野外の温度・湿度条件および無機態窒素形態による土壌中での可動性の違いを考慮した植物にたいする窒素可給性を比較検討する予定である.
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