2007 Fiscal Year Annual Research Report
マテバシイ及びクロマツ実生の生育・生存に対する内生菌の影響
Project/Area Number |
17780127
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
畑 邦彦 Kagoshima University, 農学部, 准教授 (00325771)
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Keywords | 内生菌 / クロマツ / Phomopsis sp. / Penicillium sp. / 接種試験 / 低菌栽培 |
Research Abstract |
これまでの試験では、針葉樹および広葉樹の実生の内生菌相の概略と内生菌の感染経路を明らかにするとともに、内生菌低レベル感染実生の作出方法を確立した。また、内生菌の野外における実生への感染速度が予想以上に速いことが明らかになった。これらの結果を受け、本年度はクロマツを材料に、室内で成育した実生での内生菌相調査および内生菌接種試験を行った。 1.室内生育クロマツ実生における内生菌相調査 鹿児島県桜島で採取したクロマツ種子を滅菌後、室内の低菌条件下で成育し、3カ月後および8カ月後の内生菌相を調査した。その結果、いずれも室内生育クロマツ実生の茎および根においてはPenicillium sp.が高頻度で分離された。葉では内生菌はほとんど分離されなかった。本菌は野外のクロマツ実生などからは内生菌としてほとんど分離されない菌であり、また室内栽培では内生菌を低レベルに抑えられるという昨年の結果とも異なる。これは、調査時点で茎が既に木化していたため、それに伴って普遍的な腐生菌であるPenicillium sp.の侵入が可能になり、かつ野外なら感染しているはずの他の内生菌が存在しないためにこのような結果になったと考えられた。 2.室内生育クロマツへ実生の内生菌接種試験 前出の室内生育クロマツ実生に対し、生育開始5ケ月後に実生の主要な内生菌Phomopsis sp.の有傷接種および無傷接種を施し、接種3カ月後に感染の確認を行った(なお、前節の「8カ月後」はこの際の対照区である)。その結果、いずれの接種法においても感染が確認されず、接種区対照区に関わらずPenicillium sp.が圧倒的に高頻度で分離された。そのことから、内生菌の侵入・感染においては先行感染者の影響が極めて強く作用することが示唆された。
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