2005 Fiscal Year Annual Research Report
森林における地温の上昇が樹木細根の生産量と枯死量に与える影響の評価
Project/Area Number |
17780131
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
野口 享太郎 独立行政法人森林総合研究所, 立地環境研究領域, 主任研究官 (70353802)
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Keywords | 細根動態 / スギ / 地温 / ミニライゾトロン / 炭素 / 窒素 |
Research Abstract |
本研究の目的は「地温の変化が樹木細根の生産量と枯死量に与える影響を評価する」ことである。平成17年度は試験地の設置、試験方法の確立、加温処理前の細根の性質を解明することを目標として、下記の試験研究を行った。 1、電熱シートを土壌中に埋設し、地温の制御を試みた。その結果、電熱シート設置区では地温が27〜33℃の範囲に保たれたのに対し、ヒーターを設置しなかった対照区では、同じ期間に地温が18℃まで低下した。以上により、本研究で利用した電熱シートが土壌の加温処理による地温の制御に有効であることが示された。この電熱シートをミニライゾトロン(1mの透明アクリル管)とともに森林総合研究所・千代田試験地に設置した。 2、加温処理前のスギ人工林(森林総合研究所・千代田試験地)の細根動態をミニライゾトロン法により解析した結果、細根の生産は3〜4月に増大するが、その後減少し、8〜10月にかけて再び増大することを明らかにした。12〜2月の冬季における細根の生産は、停止はしなかったものの非常に小さかった。また、土壌の深さ0-20cmにおける1年間の細根生産量は、おおよそ20-30gm^<-2>と推定された。 3、加温処理前のスギ人工林の細根を採取し、炭素・窒素含有量を測定した。その結果、細根の炭素・窒素含有量は、それぞれ約430〜460mgg^<-1>、11〜14mgg^<-1>で、炭素・窒素含有量ともに表層土壌で大きく、下層土壌で小さい傾向を示した。 4、ヨーロッパの樹木根研究会(COST E38)でスギ人工林の細根動態について研究発表「Fine root dynamics of Japanese cedar (Cryptomeria japonica): A preliminary study using the minirhizotron technique」を行うとともに、各国研究者と情報交換を行った。
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