2006 Fiscal Year Annual Research Report
森林における地温の上昇が樹木細根の生産量と枯死量に与える影響の評価
Project/Area Number |
17780131
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
野口 享太郎 独立行政法人森林総合研究所, 立地環境研究領域, 主任研究員 (70353802)
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Keywords | 細根動態 / スギ / 地温 / ミニライゾトロン / 炭素 / 窒素 |
Research Abstract |
本研究の目的は「地温の変化が樹木細根の生産量と枯死量に与える影響を評価する」ことである。平成18年度は前年度に設置した試験地において加温処理を行い、冬季における細根動態に対する地温上昇の影響について解析した。 1、スギ人工林において、平成18年12月から、ミニライゾトロンの下部に埋設した電熱ヒーターを利用して土壌に対する加温処理を行った。加温処理を行わなかった11月には、無処理の対照区と処理区の両区で深さ10cmの地温が約15℃から10℃まで低下し、両区の地温変化のパターンにも違いが見られなかった。この結果は、加温処理前の両区の地温環境に違いが無かったことを示唆している。これに対し加温処理を行った12月には、深さ10cmの地温が対照区では8℃-10℃程度であったのに対し、加温区では3℃程度高い約12℃-13℃に維持することができた。 2、加温処理を行わなかった11月から処理を行った12月にかけて、ミニライゾトロン上に新たに出現した細根の数を計測し、細根生産に対する加温処理の影響について解析した。その結果、加温処理区と対照区におけるミニライゾトロンの単位面積あたり細根出現数は、処理前の11月に550、390個/m^2であったのに対し、処理を行った12月には520、160個/m^2であった。これらの結果は、冬季の細根生産量の減少が土壌への加温処理により抑制されたことを示唆している。 3、土壌の深さ0-5cmにおけるスギ細根の炭素・窒素濃度を測定した結果、炭素が約450-470mg g^<-1>、窒素が約13.0-14.5mg g^<-1>で、地温の高い夏季に低い傾向を示した。この結果は地温により細根の炭素・窒素含有量が変化する可能性を示している。
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Research Products
(1 results)