2005 Fiscal Year Annual Research Report
森林の植食性昆虫-捕食寄生性昆虫群集:群集構造を決定する要因の解明
Project/Area Number |
17780134
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
杉浦 真治 独立行政法人森林総合研究所, 森林昆虫研究領域, 研究員 (70399377)
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Keywords | ヤナギ属 / コナラ属 / 植食性昆虫 / チョウ目幼虫 |
Research Abstract |
森林の植食性昆虫-捕食寄生性昆虫の群集パターンの一般性を探るために、本年度は、異なるハビタットに生育する2属(コナラ属とヤナギ属)の樹木上での植食性昆虫群集を記載することを目的に調査を行った。 茨城県北部において、5-6月および7-9月にかけて、コナラ属およびヤナギ属上で植食性昆虫群集を調査した。コナラ属樹種ではブナ原生林に生育する数m以上の個体を対象とした。ヤナギ属樹種については、湿原周辺部に生育する2-3mの個体を対象とした。調査は、葉上の植食性昆虫をデジタルカメラで撮影・記録し、一部は同定のためにサンプリグを行った。コナラ属では梯子およびザイルを用いて樹冠部にアクセスし調査を行った。 コナラ属上の植食性昆虫では、個体数で、チョウ目幼虫が多く、コウチュウ目、ハエ目、ハチ目幼虫も見られた。ヤナギ属でもチョウ目幼虫が多かったが、コウチュウ目のハムシ類も比較的多く見られ、それらを捕食するカメノコテントウが頻繁に観察された。コナラ属およびヤナギ属の両方で、ゴール形成昆虫が観察され、コナラ属では、タマバチ類、タマバエ類が、ヤナギ属ではタマバエ類、ハバチ類が、葉などの器官にゴールを形成していた。コナラ属およびヤナギ属上の植食性昆虫では、チョウ目幼虫が優占しているのは共通していたが、その他の分類群では構成が異なっていた。これは、チョウ目幼虫では、広食性の種が多いが、その他の分類群では、コナラ属およびヤナギ属を専門に利用する狭食性の種が多いことと関係している可能性がある。
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