2005 Fiscal Year Annual Research Report
水性高分子-イソシアネート系木材接着剤における木材抽出物接着阻害の解析と改善
Project/Area Number |
17780137
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀 成人 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (80313071)
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Keywords | 水性高分子-イソシアネート系木材接着剤 / 木材抽出物 / 接着阻害 / カラマツ / ラテックス / 濡れ性 / 表面自由エネルギー / 接着仕事 |
Research Abstract |
木材抽出物による接着阻害の解析と改善を検討するために、木材抽出物と対象接着剤主成分の一つであるラテックスとの間の濡れ性または界面安定性と木材接着強さの関連性を調査した。ラテックス、または数種の極性溶媒で逐次分画した抽出成分それぞれの接触角測定を行った。その結果を基に臨界表面張力γcを算出し、木材抽出物が接着作業に及ぼす影響を予測した。そして、分画した抽出成分を定量塗布した木材をラテックスで接着して作成した試験体の接着強さを測定し、先の指標の妥当性を評価した。供試ラテックスはある方法(特許出願予定)で調製した表面自由エネルギーの異なる試料数種で、γcは30〜40(mN/M)であった。一方、グイマツ(北洋カラマツの一種)から得た木材抽出物の分画物のそれは35〜70であった。 極性の低い分画媒から得られた分画物を塗布した木材被着材での接着強さは、漸次低くなる。一例として、水抽出物を塗布した試験体と比べてヘキサン抽出物のそれは接着強さが半分である。また、抽出物とラテックスの臨界表面張力が近しいもの同士では、接着強さが高くなる傾向を示し、両者に一次の関連性があることが示唆された。ここで「近しい」と表現をしているのは、それぞれの張力値が同一値である組み合わせは、接着強さが最大とはならない。これは、ここで示したラテックスのγcは水を除した塗膜での測定値であり、実際ラテックスはエマルション状で接着剤塗布作業時における抽出物を塗布した木材との濡れやすさを示すものではないことが理由と考えられる。ところで表面張力の値からは、貼り合わせた二つの物質を引きはがすのに必要な接着仕事と呼ばれる指標が算出できる。この接着仕事の大小と実際の接着強さの測定値とは非常によい一次相関が得られた。従って、木材抽出成分とラテックスそれぞれの表面張力の関連性が、接着強さに強い影響を与えることを明らかにした。
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