2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17780142
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
久保島 吉貴 独立行政法人森林総合研究所, 木材特性研究領域, 主任研究官 (40353669)
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Keywords | 木材乾燥 / 乾燥応力 / 狂い / 曲げ / 高温高圧 / 経時変化 |
Research Abstract |
(目的)本研究課題では,木材乾燥で生じる狂いを,乾燥過程で木材を圧締することによって抑制する際に,高温高圧水蒸気を用いると圧締力を低減することが出来るのではないかと考えた。これは,高温条件において高圧水蒸気中では常圧水蒸気中よりも木材が極めて軟化することに基づく。そこで,本年度は1気圧より高圧の高温水蒸気中で木材を乾燥させたときの乾燥応力の変化をリアルタイムで測定することを目的とした。 (方法)高温高圧条件における乾燥応力の測定系が従来存在しなかったため,測定系を試作した。試験体をその中央部に設置した高温用荷重計の荷重測定点および両端の支持点の合計3点で支持し,曲げの力を測定した。そして,温度115℃,相対湿度75%(水蒸気圧1.25気圧)の条件で幅30mm(繊維方向)×厚さ15mm(半径方向)×長さ150mm(接線方向)の寸法のスギ材を密閉型加熱装置内で乾燥させ,乾燥応力(曲げ),材温,重量並びに曲げ変形の経時変化を測定した。試験体は材温および重量が安定したときに加熱装置から取り出した。乾燥応力,材温,重量および曲げ変形測定用の各試験体は繊維方向にマッチングした。初期含水率は各試験体とも約110%でばらつきは小さかった。測定値は通常の恒温器を用いて115℃,常圧条件で加熱した場合と比較した。 (結果)試作した測定系によって高温高圧条件における乾燥中の曲げの力を追跡することが可能となった。乾燥中の曲げの力は,設定圧力によらず一度増大した後減少し,やがて安定した。設定圧力が1.25気圧の場合,曲げの力の最大値は常圧の場合の約40%となった。すなわち,高温高圧条件での木材の軟化によって乾燥応力が減少した。従って,乾燥過程で高温高圧水蒸気を用いることによって圧締力を大幅に低減することが出来ると考えられる。尚,曲げ変形の測定は精度を上げるため測定冶具を改良中である。
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