2006 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓および卵巣由来成分による魚類の卵膜形成過程の解明
Project/Area Number |
17780148
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤田 敏明 北海道大学, 大学院水産科学研究院, 博士研究員 (30396311)
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Keywords | コリオジェニン / ZPB / ZPC / 組み換え蛋白 / コリオジェニンHα / コリオジェニンHβ / 魚類 / 卵膜形成 |
Research Abstract |
本研究では、魚類の卵膜形成過程を解明するために、生化学的および分子生物学的解析を行っている。本年度はサクラマス肝臓で発現する卵膜蛋白前駆物質(コリオジェニン)並びに卵巣で発現する卵膜蛋白(ZPBおよびZPC)のりコンビナント蛋白を合成し、抗体を作製した。 3種類のコリオジェニン遺伝子(Chg Hα、Chg HβおよびChg L)のシグナル配列以降および2種類のZP遺伝子の一部をPCRによって増幅して発現用ベクター(pET-32b)に細み込み、リコンビナント蛋白(rmChg Hα、rmChg Hβ、rmChg L、 rmZPBおよびrmZPC)を合成した。SDS-PAGEでの観察の結果、すべての組み換え蛋白は、予想される分子量のポリペプチドバンドを形成した。精製したコリオジェニンHおよびLに対する特異抗体(a-Hおよびa-L)を用いたウエスタンプロッティングでは、rmChg HβおよびrmChg Lはそれぞれa-Hおよびa-Lにより強く検出されたが、rmChg Hαはa-Hに対して弱い染色性しか示さなかった。Chg HαとHβをより詳細に比較するために、これらの組み換え蛋白を家兎に免疫して特異抗体(a-rmHαおよびa-rmHβ)を作製した。サクラマス雌血清を用いたウェスタンプロッティングにおいて、a-rmHβはa-Hと同位置のバンドを特異的に認識し、一方でa-rmHαはChgHよりもやや高分子の数本のバンドを検出した。これらのことから、これまでにChgHとしていた蛋白はChg Hβに当たることが明らかになった。また、バンドの強さからChg Hαは血中および卵膜中ではマイナー成分であることが示唆された。一方、rmZPBおよびrmZPCに対する抗体も同時に作製し、ウエスタンプロッティング等を用いて雌血清、卵膜および卵抽出物を解析したが、何れの試料にも免疫陽性反応は認められず、今後検出方法を検討する必要があることが予想された。以上、本年度の実験により、サクラマスのコリオジェニンがChg Hα、Chg HβおよびChg Lの3種類の蛋白から成ることを免疫生化学的に明らかにした。
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Research Products
(1 results)