2007 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓および卵巣由来成分による魚類の卵膜形成過程の解明
Project/Area Number |
17780148
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤田 敏明 Hokkaido University, 大学院・水産科学研究院, 博士研究員 (30396311)
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Keywords | ZPB / ZPC / 莢膜細胞 / 顆粒膜細胞 / 卵母細胞 / 卵巣 / サクラマス / 卵膜形成 |
Research Abstract |
本研究は、魚類の卵膜形成過程を解明することを目的にサケ科魚類を用いた実験を行っている。本年度はサクラマス卵巣で発現する2種類の卵膜蛋白(ZPBおよびZPC)の局在を生化学的および分子生物学的に観察した。 サクラマスZPBおよびZPC遺伝子の断片から約400bpのDIG標識cRNAプローブを作成し、ノーザンハイブリダイゼーションによる両mRNAの検出を試みた。サクラマス1年魚および2年魚雌の卵巣から抽出したトータルRNAを観察したところ、1年魚卵巣においてのみ非常に弱いシグナルが検出された。さらに、同様のサンプルから調整したcDNAを鋳型としたPCRにおいても、1年魚のみで強い増幅が観察された。このことは本種のZP遺伝子が主に未成熟雌の卵巣で発現していることを示している。これと同時に、組み換えZPBおよびZPCに対する抗体を用いたウエスタンブロッティングによってサクラマス卵膜を解析したが、ZP蛋白の特異的検出には至らなかった。従って、サクラマスZP蛋白は、遺伝子発現および蛋白合成の両面でマイナーな成分であることが示唆された。次いで、サクラマスの近縁種であるカットスロートトラウトの卵巣を用いたPCRによって、より詳細なZP遺伝子の局在を観察した。即ち、卵巣から莢膜細胞層、顆粒膜細胞層および卵母細胞を分離し、それぞれを鋳型としたRT-PCRによってZP遺伝子の検出を試みた。その結果、ZPBおよびZPC遺伝子の増幅産物は顆粒膜細胞以外で特異的に検出された。このことから、サケ科魚類のZP遺伝子は卵巣内の莢膜細胞層および卵母細胞内で発現することが強く示唆された。 以上、ZP遺伝子の特異プローブとプライマーおよびZP蛋白の特異抗体を用いた解析から、サケ科魚類のZPは卵巣内の特定の細胞に局在することおよびそれらが未成熟魚に微量にしか発現しないことが明らかになった。
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Research Products
(2 results)