2006 Fiscal Year Annual Research Report
生物保全における棲息環境のデザイン-メタ個体群の持続可能性を中心に
Project/Area Number |
17780161
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
箱山 洋 独立行政法人水産総合研究センター, 内水面研究部, 主任研究員 (50344320)
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Keywords | 生息地デザイン / 絶滅リスク / 保全 / メタ個体群 / 生息地選択 |
Research Abstract |
最終年度の計画に従い、基本となる確率論的なメタ個体群モデルをもとに、禁漁区と漁区の棲息域を考えた。nの独立な生息地があって移動がない場合に、努力万(漁船の数)をどう振り分ければ全体の絶滅確率を小さくできるかを考えると、ラグランジュの未定常数法から、各生息地に均等に漁獲を与えるのが最善ということがわかる。すなわち、禁漁区は絶減リスクを上げる。また、確率微分方程式にフィードバック管理を組み込んだ簡単なモデルを検討すると、フィードバック管理については均等努力量方策よりリスクを下げることがわかる。従って、移動のない独立な生息地の場合、絶滅リスクは禁漁区>均等漁獲努力>フィードバックの順に高くなる。また、禁漁区を作ると均等漁獲よりもフィードバック管理のほうが漁獲量が低下する。 一方、移動がある場合はある移動率を境にドラステッィクに状況が変わり、2つのパッチへの漁獲努力の割当を均等から一方への集中(禁漁区)まで連続的に変化させると、禁漁区の場合が最も絶滅リスクを下げることが分かった。このとき、枯渇までの累積漁獲量は禁漁区で最大となるが、年平均漁獲量は均等漁獲で最大となることが方がシミュレーションから分かった。 結論として、フィードバック管理は均等漁獲よりも絶滅リスクを下げるが、常にセンサスのコストがかかる。禁漁区方策はセンサスのコストはかからないが、絶減リスク・累積漁獲量・年平均漁獲量は生物の移動率に大きく依存することが明らかとなった。
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