2005 Fiscal Year Annual Research Report
乳酸菌由来新規抗リステリア性ペプチドの作用機構解明とその応用
Project/Area Number |
17780163
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山崎 浩司 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 助教授 (40250500)
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Keywords | バクテリオシ / 抗菌ペプチド / 乳酸菌 / 抗菌メカニズム / リステリア菌 / 食中毒菌 / バイオプリザベーション |
Research Abstract |
申請者が水産食品から見出した乳酸菌の産生する新規抗菌ペプチド、(Piscicocin CS526およびBetacin)のリステリア菌に対する抗菌メカニズムを詳細に検討し以下のような結果を得た。すなわち,Carnobacterium piscicola CS526株の産生するクラスIIaバクテリオシンであるPiscicocin CS526は,感受性菌の細胞膜に対して,K+が通過できる程度の極めて小さな穴を形成し,膜電位と細胞内外ΔpHを崩壊させ,プロトン駆動力(PMF)を保てなくすることで細胞内のATPの枯渇を導き,死に至らしめることで殺菌的作用を発揮することを明らかにした。 また,Carnobacterium piscicola Sur 602株の産生する抗菌ペプチドBetacinは,バクテリオシンではないものの,感受性菌に対して短時間で殺菌作用を示し,その抗菌メカニズムがK^+漏洩および細胞内部ATPの消費・枯渇を引き起こすなど,クラスIIaバクテリオシンと類似することを明らかにした。 一方,Betacinは感受性菌であるListeria属菌に対してのみ吸着され,吸着に関与するレセプターの存在が示唆されたが,感受性菌膜表面を各種酵素および界面活性剤で処理したところ,リパーゼやトリトンX-100の処理で吸着率の大幅な低下が認められ,抗菌ペプチドの吸着に関与するタンパク質性レセプターの存在は否定された。さらに,Betacinは脂質分解酵素によって失活することこら,分子内に何らかの修飾を受けていると予想され,また,Betacinアミノ酸配列と完全に一致する合成ペプチドに抗菌活性が見られかったことから,この修飾部位が抗菌活性に関与している可能性が強く示唆された。
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