2005 Fiscal Year Annual Research Report
海藻の塩ストレス応答における適合溶質蓄積の分子機構の解明
Project/Area Number |
17780165
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
柿沼 誠 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (60303757)
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Keywords | 海藻 / 緑藻 / 不稔性アナアオサ / 塩ストレス / 適合溶質 / プロリン / P5CS / 環境適応 |
Research Abstract |
天然(100%)海水で培養した不稔性アナアオサ藻体と比較して,180%海水で24h処理した藻体は約14.4倍の適合溶質プロリンを蓄積する.高等陸上植物のプロリン合成・分解系にはΔ^1-ピロリン-5-カルボキシレート(P5C)合成酵素(P5CS),P5C還元酵素(P5CR),プロリン脱水素酵素(ProDH),P5C脱水素酵素(P5CDH)が関与しており,外部環境変化に応じたP5CS及びProDH遺伝子の発現変化により細胞内プロリン含量が調節されている.そこで本研究では,塩ストレスによる不稔性アナアオサの細胞内プロリン含量調節機構を明らかにするために,まずプロリン合成・分解系酵素をコードするcDNAの単離を試みた. まず,100%あるいは180%海水で24h処理した不稔性アナアオサの1本鎖cDNAを作製した.これを鋳型とし,既報のプロリン合成・分解系酵素のcDNA塩基配列を参考に作製した縮重プライマーを用いてRT-PCRを行ったが,cDNA断片の増幅は認められなかった.次に,100%あるいは180%海水で24h処理した不稔性アナアオサのcDNAライブラリーを構築した.また,RT-PCRによりシロイヌナズナcDNAライブラリーからP5CS,P5CR,ProDH,P5CDHをコードするcDNAを単離した.これらをプローブとして不稔性アナアオサcDNAライブラリーのスクリーニングを行い,P5CSをコードする約1.4kbpのcDNAを単離した.塩基配列及び演繹アミノ酸配列解析の結果,単離cDNAは不稔性アナアオサP5CSのC末端側約400残基の演繹アミノ酸残基をコードしており,この領域における高等陸上植物P5CSと約60%のアミノ酸同一率を示すことが明らかとなった.
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Research Products
(1 results)