2006 Fiscal Year Annual Research Report
海藻の塩ストレス応答における適合溶質蓄積の分子機構の解明
Project/Area Number |
17780165
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
柿沼 誠 三重大学, 大学院生物資源学研究科, 助教授 (60303757)
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Keywords | 海藻 / 緑藻 / 不稔性アナアオサ / 塩ストレス / 適合溶質 / プロリン / P5CS / 環境適応 |
Research Abstract |
緑藻不稔性アナアオサは高塩ストレスに晒された場合,細胞内に適合溶質であるプロリンを蓄積し,高塩環境に適応することが申請者によって既に明らかにされている.高等陸上植物の細胞内プロリン含量は,Δ^1-ピロリン-5-カルボキシレート合成酵素(P5CS)及びプロリン脱水素酵素(ProDH)によって調節されており,同様な機構が不稔性アナアオサにも備わっていることが考えられる. 平成17年度の研究で,不稔性アナアオサP5CSの部分cDNA(約1.4kbp)を単離することができた.そこで本研究では,部分cDNAの塩基配列情報を基にプライマーを作製し,高塩ストレス処理藻体から調製したcDNAを鋳型としてRACE PCRを行った.その結果,予想されるcDNA断片の増幅は認められず,不稔性アナアオサP5CSの全一次構造を決定するには至らなかった. 次に,塩ストレス条件下で培養した不稔性アナアオサ藻体内におけるP5CS遺伝子の発現変化を調べた.通常培養藻体を高塩あるいは低塩培養条件に移し,2,4,8,24時間処理後,各藻体から全RNAを抽出してcDNAを合成した.各藻体から調製したcDNAと,不稔性アナアオサのP5CS mRNAに特異的なプライマー/プローブセットを用い,リアルタイムPCRによりP5CS遺伝子の発現変化を調べた.その結果,通常培養藻体と比較して,高塩ストレス処理藻体におけるP5CS遺伝子の発現量は約1.5〜2倍に急増したが,低塩ストレス処理藻体におけるP5CS遺伝子の発現量は約1/3に低下した.したがって,外部環境に応じてP5CS遺伝子の発現が変化すること,P5CSが細胞内プロリン含量の調節を行っていることが示唆された.
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Research Products
(1 results)