2006 Fiscal Year Annual Research Report
水産物中のヒドロキシ脂質およびアルデヒド類を利用した新規の品質評価法の開発
Project/Area Number |
17780168
|
Research Institution | National Fisheries University |
Principal Investigator |
田中 竜介 独立行政法人水産大学校, 食品科学科, 講師 (30399654)
|
Keywords | ヒドロキシ脂質 / 品質評価 / 4-hydroxy-2-hexenal / アルデヒド / 酸化脂質 |
Research Abstract |
昨年度の報告から、生魚の品質を生体内のヒドロキシ脂質を指標として評価を行った結果、病気>養殖>天然の順にヒドロキシ脂質が蓄積し、生体の健康状態の指標となり得る事が判明したため、本年度は病気魚について、詳細な検討を行った。生魚(コイ:Cyprinus carpio)に四塩化炭素を腹腔内に投与し肝疾患を誘導させ、ヒドロキシ脂質を初めとする脂質関連物質について分析を行った。この結果、哺乳類を用いた研究と同様に、脂質含量ならびにトリアシルグリセライドの増加が確認された。また、ヒドロキシ脂質の著しい増加も確認され、昨年度の報告を示唆するものであった。 次に、アルデヒド類(特にn-3系脂肪酸の酸化によって生じる4-hydroxy-2-hexenal : HHE)を利用した健康指標の有効性を検討するために、昨年度はHHEを含むアルデヒド類の分析方法について報告したが、本年度はn-6系脂肪酸の酸化から生じる4-hydroxy-2-nonenal(HNE)の分析方法についても検討を行った。HNEは哺乳類における酸化ストレス指標として利用されているが、水産に着目した場合、潜在的にn-6系脂肪酸も含まれており養殖の飼料には栄養強化のためにn-6系脂肪酸を添加している事例もある。昨年度の方法を参考にHNEとHHEを同時に分析する方法について検討を行った。その結果、方法を改良することにより最良の分離が得られ、同時分析が可能となった。この方法を用いて上述の四塩化炭素を投与したコイのアルデヒド類を分析した結果、酸化ストレスにより生じた種々のアルデヒドが検出され、HHEとHNEはともに増加した。特にHHEの増加が顕著であり、ヒドロキシ脂質量の増加との相関性も見られた。一方、HNEはHHEと比較すると著しい増加は見られなかったが、ヒドロキシ脂質との相関性は見られ、ストレス指標の有効性が示唆された。
|