2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17780172
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
木下 幸雄 Iwate University, 農学部, 准教授 (90323477)
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Keywords | 環境政策 / 農業水利 / 比較制度分析 / 水資源 / カリフォルニア / オーストラリア / 日本 |
Research Abstract |
わが国の農業は,アジアモンスーン地域としての風土の影響を受けながら固有の性格を与えられているが,それは水田中心の農業の展開や農業水利のあり方といった側面にも表れている。こうした風土の違いによって,農業や農業水利のあり方は違いを見せることになる。 前年度に引き続き今年度も,農業水利制度の実証的な研究を行った。 国際的な面では,オーストラリアの農業水利制度と水利用の変化,特に水利市場の展開を中心に実態調査と文献調査を行った。その結果,水利市場の展開を規定する要因としては,降雨の状況といった自然的要因だけでなく,水利市場制度の整備や市場制度の浸透過程といった社会的要因もあることがわかった。また,水利市場は水利用の変化をもたらしている実態があり,そうした変化の要因は,作目の種類や作目毎の水利用にかかる農業経営にかかる経済性の違いによるものであることが実証された。 なお,2006/07年度は,1000年に一度の大干ばつによる深刻な農業用水不足の事態にあり,こうした状況の中では,取り引きされるべき財(水)がそもそもないため,水利市場が機能し得ないというオーストリラリアの農業水利制度の限界が図らずとも明らかとなった。 一方,国内では岩手県内における農村資源管理に関する実態調査を行った。日本では資源保全施策として,新たに「農地・水・農村環境保全向上活動支援」が政策的展開され,農村資源管理にかかる主体や管理制度の再編成の動きが確認された。また,岩手県独自の動向である「アドプト協定」を素材として,農村衰退局面における農業水利施設の管理のあり方を考察した。 こうした国内外における実態調査を通して,農業水利に関する比較制度分析に適用できうる量的・質的なデータをおおかた収集することができた。
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Research Products
(3 results)