2005 Fiscal Year Annual Research Report
生態系モデルによる汽水湖の環境動態予測と最適な塩分管理の対策シナリオの作成
Project/Area Number |
17780186
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
原田 昌佳 九州大学, 大学院農学研究院, 助教授 (80325000)
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Keywords | 閉鎖性水域 / 汽水湖 / 富栄養化 / 水環境の保全 / 生態系モデル / 環境動態予測 / 貧酸素化 / 植物プランクトン |
Research Abstract |
本研究では,人為的な塩分管理下にある汽水湖として鳥取県東部と中部にそれぞれ位置する湖山池,東郷池を選び,環境動態予測や塩分管理に関する対策シナリオの作成に当たっての基礎的研究として本年度では現地観測を通じた水環境の現状把握と評価に務めた. 1)鳥取県湖山池 湖山池において水質調査,微気象観ならびに生物調査を行い,植物プランクトン優占種の季節的消長の観点から湖山池の水環境について検討した.多様性指数の季節変動の観点から観測期間を7期に区分し,各期間でプランクトン個体数と水質項目を比較した結果,動物・植物プランクトンと水質との間に有意な関係を見出すことができた.また,年次的な観点から水環境の変化を捉えるため過去の報告との比較も行った結果,夏季における優占種交代の原因を解明することができた.また,最深部湖底付近のDOの短期予測手法としてカオス工学の分野で開発されたLocal Approximation法を採用しその適用性を示すとともに,観測機器に由来するノイズの除去処理法としてWaveletを導入し予測精度の向上を図った.あわせて,ニューラルネットワークモデルを用いたDOならびにクロロフィルaの動態予測モデルを構築した.さらに,鉛直1次元拡散モデルよる密度成層の形成・破壊過程の数値実験を行い,水温成層ならびに塩分成層の形成特性と破壊特性を定量的に把握した. 2)鳥取県東郷池 水環境の定期的な多点調査を実施し,プランクトン種と栄養塩類の季節的な変動特性ならびに空間分布特性について検討した.夏季の海水流入に伴う塩分上昇は,栄養塩類の動態に影響を及ぼすことが示唆された.また,東郷池の水環境はリン制限的であることが確認でき,藍藻類にもこの結果が反映されたことから,アオコ発生の抑制にはリンの低減が重要であることも示された.
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