2006 Fiscal Year Annual Research Report
生態系モデルによる汽水湖の環境動態予測と最適な塩分管理の対策シナリオの作成
Project/Area Number |
17780186
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
原田 昌佳 九州大学, 大学院農学研究院, 助教授 (80325000)
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Keywords | 閉鎖性水域 / 汽水湖 / 富栄養化 / 水環境の保全 / 生態系モデル / 環境動態予測 / 貧酸素化 / 植物プランクトン |
Research Abstract |
1.鳥取県東郷池の水環境調査=鳥取県東郷池において水質の多地点調査を行い,富栄養化に関わる水質項目と動物・植物プランクトンを主として,その季節的変化と分布特性の観点から,東郷池の水環境を評価した.その結果,とくに湖南部が過栄養な状態にあることが確認された.そして,海水の流入に伴う湖水の塩分の上昇が,栄養塩類の動態に影響を及ぼしていることが示唆された.また,植物プランクトンの増殖に関して水域はリン制限的な傾向にあったことから.夏季の藍藻類の増殖を抑制するためにはリンの低減が重要であることが示された. 2.鳥取県湖山池の密度成層の形成・破壊特性:鳥取県湖山池を対象に,密度成層の形成・破壊過程について水温・塩分に関する鉛直1次元拡散モデルを通じて検討した.本研究では,水質輸送のダイナミクスに関わる鉛直渦動拡散係数を成層化関数でモデル化し,そのモデルパラメータを遺伝的アルゴリズムによる最適値探索によって決定することで,計算結果は観測結果を良好に再現できた.数値実験の結果,(1)風速5m/s以下で水温成層が形成され,風速により密度界面の位置が1.5〜3mの範囲で変動すること,(2)成層破壊に要する吹送時間は風速の指数関数で与えられることが示された. 3.DOのリアルタイム予測手法の開発:水質・微気象のモニタリングデータに基づいたDOのリアルタイム予測手法として,カオス工学の分野で開発されたLocal Approximation法とFeedback型ニューラルネットワークの二つ手法を提案した.さらに,時系列データに含まれるノイズの除去ならびに低周波・高周波の分離を目的にwavelet解析を導入した.その結果,予測精度と限界リードタイムが大幅に向上し,リアルタイム予測手法としての有効性が確認された.
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