2006 Fiscal Year Annual Research Report
不均一流下における土壌微生物の群集構造が窒素循環に及ぼす影響
Project/Area Number |
17780188
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
末継 淳 鳥取大学, 乾燥地研究センター, プロジェクト研究員 (50398335)
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Keywords | 土壌圏現象 / 窒素循環 / 微生物 / 分子生態 / 砂漠化 |
Research Abstract |
不均一流下での土壌微生物の群集構造とその窒素循環へ影響を明らかにするために、滅菌型ヘレ・ショウ土壌槽を用いた培養実験を継続し、不均一流内外の土壌DNAを抽出してPCR後、変性剤勾配ゲル電気泳動法(DGGE)でDNAを分離し、分離バンド数と蛍光強度からShannon-Wienerの多様性指数を求めた。また、微生物群集構造を正確に反映したPCR条件を求めるため、SantaLucia and Watkins(2005)のイノシン含有DNAの熱力学パラメータを参考にして、アニーリング温度等を修正した。さらに、不均一流内外の遺伝子量の違いを大まかに比較するため、定量ルーラーを用いたポリアクリルアミド電気泳動(PAGE)をDGGEと併せて行った。 不均一流下での培養実験は、均一流・フィンガー流・バイパス流の3種類の条件で行った。その結果、フィンガー流によって浸潤境界面の比率が増大し、多様性指数の空間平均値が増大することが、昨年度の実験と同様に確認された。また、この結果を説明する簡易なモデルを作成し、日本土壌肥料学会で発表した。バイパス流下では、マクロポア内部の水蒸気凝結により、亜硝酸イオン濃度の低下とnosZ遺伝子の増加が局所的に生じることを見出した。この結果は、昨年度のデータと合わせて国際土壌学会で発表した。マクロポア内部の凝結条件は、地表面蒸発速度をCampbell型の蒸発速度と風による水蒸気輸送速度の和とし、相転移による熱の発生・吸収を考慮した簡易な計算で確認された。 以上の解析は、環境中で安定なDNAに基づくものであるため、環境条件の違いを敏感に反映するRNAを標的として培養・固定・抽出などの条件検討を行い、高感度なCARD-FISH法による微生物の分布と発現解析を行う環境を整備した。また、DGGEで得られたDNA断片の一部について、TAクローニングによる塩基配列の検証を継続している。
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