2005 Fiscal Year Annual Research Report
富山県諏訪川用排水路の新型洪水調整池における浸透機能の評価
Project/Area Number |
17780189
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Research Institution | Toyama Prefectual University Junior College |
Principal Investigator |
瀧本 裕士 富山県立大学短期大学部, 助教授 (60271467)
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Keywords | 洪水 / 水循環 / 調整池 / 浸透機能 / 流出解析 |
Research Abstract |
富山県砺波中部地区では洪水調整機能の低下に伴い溢水被害が頻発していることから,特に緊急を要する諏訪川用排水路を砺波中部2期地区として重点的に整備されることになった。流出解析の結果,諏訪川の末端で洪水調整しない場合のピーク流量は11.4m3/sと計算されるのに対し,排水先の乱馬川における諏訪川分の流下能力は5.34m3/sに過ぎないことがわかった。このため,洪水時のピーク流量をカットするために洪水調整池が設けられることになった。この調整池は浸透型に設計されている点が特徴的であり,洪水ピークカットと共に地下水涵養の役割も期待できる。しかしながら,浸透型の洪水調整池は全国的にも例が無く,その構造や維持管理手法については全く手探りの状態であり浸透メカニズムの定量的な解明が重要な課題となる。そこで,調整地の土を採取し,実験によって浸透性や濁水による目詰まりの状況を観察し,浸透機能の評価を試みた。実験では定水位飽和透水試験装置を作成した。現場から調整池底面の土を採取し,その土を円筒状に固め、その上部から水を浸透させることにより動水勾配や透水係数を測定した。また,調整池底面が基礎地盤のままでは目詰まりによる浸透機能低下の危険性もあるので,現地砂によるフィルター材を導入した場合の透水性も測定した。 その結果,浸透特性や基礎地盤およびフィルター材の目詰まり状況について以下のようなことがわかった。調整池底面の地盤にフィルター材が侵入し、浸透量が低下することはなかった。濁質の捕捉と浸透量の変化については,基礎地盤に累積濁水投入量が1910g/m2になると浸透機能が60%低下するのに対して,フィルター材を設置した場合には累積濁水投入量が3979g/m2で浸透機能が60%低下するので,フィルター材の設置が効果的であることがわかった。また濁質はフィルター材の上部で捉えられるので,表層部の入れ替えで浸透効果を復帰させることが可能であることがわかった。
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