2006 Fiscal Year Annual Research Report
農作物内における水移動の可視化-中性子およびX線イメージングの応用-
Project/Area Number |
17780193
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
松嶋 卯月 岩手大学, 農学部, 助教授 (70315464)
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Keywords | 中性子ラジオグラフィ / シンクロトロンX線イメージング / 重水 / クロロフィル蛍光 / 水ストレス / バラベントネック |
Research Abstract |
本研究では,中性子およびX線イメージングを用いて,植物の器官内における水分分布変化から水の動きを推定すること,植物の組織内における水移動の可視化,導管内における水移動の可視化することを目的としている.18年度に得られた結果は次の通りである. 1.植物に対する中性子および重水の影響の検討 植物体に与えられたストレス反応を評価することができるクロロフィル蛍光測定装置を用いて,植物に対する中性子および重水の影響を検討した.クロロフィル蛍光測定のパラメータの中でも被ストレスよって値が下がるFv/Fmの値は中性子,重水,また両者を同時に与えたいずれの場合も変化することはなかった.すなわち,本実験系では中性子および重水を与える影響は無視できると考えられた. 2.クロロフィル蛍光測定と中性子ラジオグラフィの同時計測の実現 クロロフィル蛍光測定と中性子ラジオグラフィの同時計測システムを開発した.本システムを用いることで,重水トレーサによる水移動の可視化を行いながら,対象植物の光合成活性を測定することが可能となった.本システムは植物の水分状態と光合成との関係解明への応用が期待される. 3.中性子およびX線イメージングのバラ切り花ベントネック解明への応用 バラ切り花のベントネックとは,花冠直下の花柄が曲がり切り花の商品価値が低下する症状であり,導管閉塞などの関わりがあげられているがまだその原因は明らかになっていない.本年度は重水トレーサを用い,水ストレス前後の水移動の変化について検討したところ,ベントネック症状が出やすい品種では水ストレス後の水移動が遅延するという結果を得た.また,シンクロトロンX線を用いて,バラ切り花茎部をCTで観察し,導管や重組織等の細胞の三次元画像を得た.今後ベントネック後の構造変化について検討を進める予定である.
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