2005 Fiscal Year Annual Research Report
イネ水チャンネルをターゲットとした環境ストレス発生メカニズムの解明
Project/Area Number |
17780196
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Research Institution | 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構 |
Principal Investigator |
櫻井 淳子 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 東北農業研究センター地域基盤研究部, 研究員 (40343959)
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Keywords | 水チャンネル / 吸水機能 / 器官特異性 / 水透過活性 / 酵母異種遺伝子発現系 |
Research Abstract |
イネは33種類の水チャンネル遺伝子を持つが、本年度は、この中から吸水機能を担う根で重要な役割を果たす水チャンネルを特定するため、これらの水チャンネルの遺伝子・タンパク発現量と水透過活性について検討を行った。具体的には以下の実験を中心に研究を進めた。 1 器官別の水チャンネル発現解析 水耕栽培したイネより発育ステージごとに葉身及び根をサンプリングし、33種類の各水チャンネル遺伝子発現の器官および発育ステージ特異性をRT-PCR法によって解析した。その結果、発育ステージを通して遺伝子発現の器官特異性が見られ、OsPIP2;7,OsTIP1;2など4種類の水チャンネル遺伝子は根より葉身で多く発現していたのに対し、OsPIP1;3,OsPIP2;4など6種類は根で多く発現していた。OsPIP1;1,OsTIP1;1など9種類は葉身と根で同程度発現していた。その他の水チャンネル遺伝子は葉身と根での発現量は極めて少なかった。次に、イネ体内での遺伝子発現量の多い水チャンネル分子種の特異的抗体を作成し、ウェスタンブロット法にてタンパクレベルでの発現も解析したところ、遺伝子レベルでの解析結果と同様の器官特異性を示した。これらの結果を総合すると、根では12種類の水チャンネル遺伝子が多く発現していることが明らかとなった。 2 個々の水チャンネル水透過活性の測定 1の結果より、根で発現量の多い水チャンネル12種類のうち10種に着目し、これらの水チャンネルを酵母遺伝子発現系を利用して個別に発現させた。次にこの酵母から膜小胞を調製し、その水透過活性を光散乱法によって測定したところ、OsPIP1;1,OsPIP1;2,OsPIP1;3を除く7種類の水チャンネル全てが高い水透過活性を持つことが明らかとなった。なお、この酵母遺伝子発現系および水透過活性測定は名古屋大学大学院生命農学研究科の前島正義教授と共同で行った。 1,2の結果から、根では少なくとも7種類の水チャンネルが高い水透過活性を持つチャンネルとして機能し、根からの吸水を担っている可能性が示された。
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Research Products
(1 results)