2007 Fiscal Year Annual Research Report
イネ水チャンネルをターゲットとした環境ストレス発生メカニズムの解明
Project/Area Number |
17780196
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
櫻井 淳子 National Agricultural Research Organization, 東北農業研究センター・寒冷地温暖化研究チーム, 研究員 (40343959)
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Keywords | 水チャンネル / アクアポリン / 吸水機能 / 大気CO_2濃度上昇 / 蒸散 |
Research Abstract |
低温・高温、乾燥、高CO等の環境ストレスは、植物体内の水分ストレスと直接的または間接的に結びついていることが指摘されているが、その作用機作については、未だ全容が解明されず、キーとなる生体分子も明らかにされていない。近年、生体膜に存在し水分子を選択的に通す水チャンネル(アクアポリン)というタンパク質が発見され、植物の水分生理に重要な役割を果たすことが明らかになりつつある。そこで、本研究では、ゲノム情報の豊富なイネを材料とし、アクアポリンをターゲットとして環境ストレス発生メカニズムの解明を目指して研究を行う。 過去の研究から、大気CO_2濃度の上昇がイネの気孔閉鎖を促進し蒸散量を低下させることが明らかにされているが、その作用機作については不明である。昨年度までに本課題にて、イネの33種類のアクアポリン遺伝子のうち、根あるいは葉身でそれぞれ発現する分子種を明らかにしたので、今年度はこれらの分子種に着目して、高CO_2処理が根及び葉身のアクアポリン発現に及ぼす影響を解析した。播種4日後から+200ppmの高CO_2処理を開始し5〜6葉期まで水耕栽培したところ、過去の研究結果と同様に高CO_2処理による蒸散量の低下が見られ、対称区と比べ蒸散量が約20%低下していた。根では高CO_2処理区と対称区でアクアポリン遺伝子発現に大きな差異はなかったが、葉身では高CO_2処理によりOsPIP1;1、OsPIP2;2等のアクアポリン遺伝子の発現量が11-35%低下したことから、これらのアクアポリン遺伝子発現量の低下が蒸散量の低下に寄与している可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)