2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17780198
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
難波 和彦 岡山大学, 大学院環境学研究科, 助教授 (90263623)
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Keywords | 植物気孔 / 気孔開度 / 光合成速度 / 光環境 / 最適化 / 省エネルギ / 植物工場 / サラダ菜 |
Research Abstract |
本研究は,明期開始前後の光照射方法を検討し,気孔の応答と光合成速度の観点から明らかにすることを目的としている。18年度は植物工場で多く栽培されているサラダ菜(Lactuca sativa L.)を光,温度,湿度及びCO_2の制御可能な照明付きインキュベータ内で成育して計測を行った。この中に,昨年度購入した超小型炭酸ガス分析計(LICOR社製LI-820)と自作のリーフチャンバを組み合わせて,光合成速度としてCO_2固定量を計測し,間欠照明利用の最適化を図った結果,以下の知見を得た。 1.照明のON/OFFに対する光合成系の応答は,1次遅れ系で精度良く近似できることが分かった。 その時の時定数は立ち上がりで5.07[min],立ち下がりで7.82[min]と立ち上がりの方が早いことから,間欠照明の利用でエネルギ利用の効率化が図れることが分かった。 2.まず入力エネルギ(点灯時間)あたりの光合成量を最大にする最適化を行った。ただし,今回の装置の関係で最小時間単位は1minとした。その結果,消灯15min,点灯1minで,連続照明に比べて33%の利得を得た。しかし,この場合光合成量0付近で点滅を行うため,得られる光合成量は最大でも連続点灯時の18%しかなく,実用的ではなかった。 3.そこで,光合成量が50%を下回らない事を制約条件に加えた。現行の完全制御型植物工場で多く採用されている日長が12hなので,同等の1日あたりの光合成量を確保するためである。その結果,消灯1min,点灯1minを繰り返すことで,光合成量61%,利得22%を得られることが分かった。 4.この条件で栽培を行った結果,日長12hと同等の光合成量を得るには19.2hが必要となるが,実際の点灯時間は半分の9.6hであり,照明コストの20%が削減出来ることが分かった。
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