2005 Fiscal Year Annual Research Report
脱顆粒反応を指標にした卵黄タンパク質のアレルゲン性評価システムの構築
Project/Area Number |
17780200
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
河原 岳志 信州大学, 農学研究科, 助手 (30345764)
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Keywords | 食品アレルギー / 脱顆粒反応 / アレルゲン / 卵 / IgE |
Research Abstract |
本研究は、鶏卵をモデルに食品のアレルゲン性を評価するための判定系の構築を目指している。原理として、対象となる食品を摂取させたアレルギーモデルマウス(NC/Nga系マウス)の血清IgE、低分子化と分画を行った抗原、マウスIgEを介した脱顆粒応答能をもつマウス由来の株化細胞、以上の3つを組み合わせて脱顆粒反応を再現する。細胞株の特性を生かし、I型アレルギーの抗原が必然的に持つIgEを介した脱顆粒反応を詳細に解析することで、未知の食品のアレルゲン性評価も視野に入れている点に特色を持つ。 今年度は、モデル全体の課題を抽出するため、扱いの比較的容易な鶏卵白に対象を絞り、検討を一通り行った。その結果以下の課題が明らかとなった。 (1)マウス由来マスト細胞株MC9のマウスIgEを介した脱顆粒応答性を検討したところ、さまざまな培養条件下にあっても応答性が弱く、異種交差反応性で脱顆粒反応が報告されているラット好塩基球細胞株のRBL-2H3と比較しても優位性は確認できなかった。 (2)一般的な食品アレルゲンの分子量1万-7万を含む8千-10万という分子量を設定し、鶏卵白成分のゲルろ過クロマトグラフィーにより得られた画分と、卵白を摂取させたNC/NgaマウスのIgEによるRBL-2H3細胞の脱顆粒反応を確認できたが、対象成分による脱顆粒反応の差は予想より小さく、画分の分子量の見直しが必要だと考えられた。 (1)に関しては、RBL-2H3でも検討は可能であるが、完全なマウスの系での構築を目指す本研究の意義が薄れてしまうため、マウス由来の脱顆粒反応を持つ細胞株の樹立を目指す方向ですでに検討を進めている。 また(2)に関しては、脱顆粒が起こる可能な限り低分子の画分に重要な情報が含まれていると考え、より低分子の画分を対象にした検討を行うことで、この系の最適化をさらに進めることとした。
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