Research Abstract |
暖地型マメ科牧草の刈取頻度と生産性の検討 生育環境の異なる2地域(平地および中山間地)において,前年度に引き続き暖地型マメ科牧草の刈取頻度と生産性について検討を行った。前年より越冬した草種は,平地ではグリーンリーフデスモディウム(Gd)およびサイラトロで(Si)で,中山間地ではGdのみであった。また,前年秋平地においてアメリカンジョイントベッチ(Aeschynomene americana CPI93556,Aj)およびビローサジョイントベッチ(A.villosa CPI93621,Vj)の結実・下種が認められ,春に種子が発芽し,群落を形成した。刈取頻度(30日または45日間隔の刈取)については,平地では45日間隔の刈取で高い合計乾物収量,合計可消化乾物収量および合計粗タンパク質収量を示し,中山間地では30日間隔の刈取で高い値を示した。草種については,平地ではAj,Gd,Siの順に高い合計乾物収量,合計可消化乾物収量および合計組タンパク質収量を示し,中山間地ではVj,Gd,Aj,Siの順に高い値を示した。乾物収量と乾物消化率および粗タンパク質含有率の関係を草種ごとに検討した結果,Gdは他草種より消化率が低い傾向にあり,Siは乾物収量の増加に伴う消化率および粗タンパク質含有率の低下割合が他草種より小さいことが明らかとなった。 暖地型マメ科牧草の家畜による嗜好性の検討 黒毛和種繁殖雌牛を用いたキャフェテリア法による嗜好性の検討の結果,Gd,Si,Ajの嗜好性はソルガム生草と同程度かまたは高いことが明らかとなった。 以上のことから,Gd,Si,Aj,Vj等は越冬株からの萌芽または自然下種した種子からの発芽により,複数年群落を維持できることが明らかとなったが,これらの牧草と組み合わせるイネ科牧草種,管理法,利用地域等により生産性や永続性も異なってくることが予想され,これらの点については牧草の特徴を考慮し今後検討していく必要があると思われる。
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