2006 Fiscal Year Annual Research Report
乳牛における増乳効果を有する飼料中機能性成分の探索とその飼養技術の応用開発
Project/Area Number |
17780205
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
小酒井 貴晴 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター自給飼料酪農研究チーム, 任期付研究員 (70391480)
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Keywords | エンドセリン / 機能性成分 / ルテオリン / 乳腺 |
Research Abstract |
1.目的 シソ科植物に豊富に含まれるポリフェノール(ルテオリン)が、エンドセリン(ET)分泌および合成を抑制することが明らかにしている。また、泌乳最盛期のマウスの乳腺において、ET発現が増大することも明らかにしている。加えて、ETは、血管収縮により血流を低下させたり、上皮細胞のアポトーシスを促進することが知られている。つまり、飼料中機能性成分であるルテオリン給与はET分泌を抑制することで乳腺上皮細胞のアホトーシスを制御させ、泌乳量を増大させることが期待できる。 昨年度はウシ乳腺にETが発現していることを明らかにした。本年度は、いつルテオリンを給与すればよいのかを明らかにするために(ET抑制効果を期待できる泌乳ステージを解明するために)、泌乳期ごとにET-1およびエンドセリンA型受容体(ETA-R)の遺伝子発現量を測定した。 2.方法 供試動物:北海道農業研究センターで一般飼育条件下にて飼育されたホルスタイン種の泌乳初期(分娩1-2週後;6頭)、中期(分娩5-6ヶ月後;7頭)、後期(分娩9-10ヶ月後:4頭)および未経産牛(3頭)の乳腺組織を摘出して、実験に供試した。 定量的PCRおよびRNA:ET-1およびETA-Rの配列は、ジーンデータベースで公開済みの配列を供試した(NM181010,NM174308)。特異的プライマーおよび蛍光プローブを用いた定量的PCR測定系を確立した。組織から抽出した総RNAを逆転写反応にてcDNAを合成した後に、定量的PCR解析を行なった。発現解析は、内部標準としてアクチン遺伝子発現を用いた。 3.結果の概要 (1)ET-1遺伝子発現は、各処理区間において有意差は認められなかった。 (2)未経産牛の乳腺ETA-R遺伝子は、泌乳期のそれと比較して有意に増大した(ANOVA,ボンフェノーニ多重比較検定P<0.001) 4.まとめ 泌乳にはETシグナルの抑制が必要であるので、ルテオリンを全泌乳期通じて給与すればよいことが示唆された。
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