2006 Fiscal Year Annual Research Report
ノックアウトラット作製が可能なラットES(胚性幹)細胞の樹立
Project/Area Number |
17780207
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
松本 浩道 宇都宮大学, 農学部, 助手 (70241552)
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Keywords | 胚性幹細胞 / ES細胞 / ラット / ノックアウトラット / 発生 / 分化 / バイオテクノロジー / 再生医学 |
Research Abstract |
生殖系列に寄与するES細胞はマウスのみで樹立されている。本研究では、疾患などの生理機能モデルとして重要であるラットのES細胞の樹立を目標としている。まず最適なフィーダー細胞と未分化マーカーの発現が高い胚ステージの組み合わせを検討した。その結果、初代培養においてはラット胎子線維芽細胞(REF細胞)を、継代培養にはSTO細胞を、それぞれ用いることが効果的であった。また、ES細胞の樹立に重要である、胚における未分化状態マーカー因子の発現動態を解析した。未分化状態マーカーとしてOct-4発現を解析したところ、桑実期胚ですべての細胞に強い発現が認められた。一方、胚盤胞期では内部細胞塊だけではなく、栄養膜細胞にも発現が観察された。そこで、前述のフィーダー細胞の組み合わせとOct-4発現の高い桑実期の胚を用いてES細胞樹立を試みたところ、ES細胞の性質をいくつか有した細胞を得ることが出来た。ラットのES様細胞は、継代培養を続ける過程で未分化能が失われることが報告されている。そこで、得られたラットES様細胞を出来るだけ早い時期で凍結保存した。 得られたラットES様細胞が生殖系列に寄与するかを検討するにはキメラを作製する必要がある。しかしながら、ES様細胞と胚のキメラ個体を作出し、毛色などにより生殖系列への寄与を判定するには長い期間を要する。それに対し、マーカー遺伝子を導入後、着床後の始原生殖細胞への寄与を検討すれば大幅な期間短縮が出来る。そこで、ラットES様細胞への緑色蛍光蛋白質(GFP)遺伝子の導入法を検討した。その結果、細胞増殖に影響せず、GFP陽性細胞の長期継代が可能な遺伝子導入法を作出することができた。
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Research Products
(3 results)