2005 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク高発現系開発を目指したmRNA安定化機構の解明
Project/Area Number |
17780208
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永岡 謙太郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (60376564)
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Keywords | mRNA安定性 / カゼイン / ARE配列 / HuR / 3'UTR / RNAi |
Research Abstract |
本研究は、ミルクタンパクの一つであるカゼインmRNAの安定化制御機構を解明することで、ミルク中タンパク発現系の改良を目指すものである。本年度の成果として以下に報告する。 1.これまでの我々の研究から、カゼインmRNAの3'非コード領域(3'UTR)には、長いpoly(A)tailと相互作用する部位の存在が示唆されていた。カゼイン3'UTRのDeletionおよびMutation解析により、897-905ntに存在するARE配列がカゼインmRNAの安定性に重要な役割を担っていることが明らかとなった。また、このARE配列にはmRNA安定化タンパクとして知られるHuRタンパクが結合し、さらにHuRタンパクはpoly(A)binding protein(PABP)と複合体を形成することを明らかにした。以上より、カゼインmRNAは長いpoly(A)上のPABPと3'UTR上のHuRタンパクを介してRNA-タンパク複合体を形成することにより高い安定性を維持していると推察された。 2.ルシフェラーゼレポーター発現ベクターの3'UTR部を上記カゼイン、持続発現型と予測されるGAPDH、短命型と予測されるIL-10の3'UTRに組み換えを行い、ルシフェラーゼ活性を測定した。その結果、カゼイン>GAPDH>IL-10の順でルシフェラーゼ活性が高かった。しかし、組み換え前よりも全体的に活性が低いため、今後は部分的な組み換えを行い高い安定性を示す3'UTR部の改変を進める。 3.1の結果より、HuRタンパクがカゼインmRNAの安定性に関与することが示唆されたため、RNAi法を用いHuRタンパクをノックダウンすることでカゼインmRNA発現にどのような影響を及ぼすかの検討を開始した。カゼイン発現に影響を与えそうな他のタンパクについても同様に検討を行っている。
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