2005 Fiscal Year Annual Research Report
受精時におけるゲノムDNAのメチル化制御機構の解明
Project/Area Number |
17780213
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岸上 哲士 独立行政法人理化学研究所, ゲノム・リプログラミング研究チーム, 研究員 (10291064)
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Keywords | 顕微受精 / リプログラミング / DNAメチレーション / 精子細胞 |
Research Abstract |
本研究課題は、卵子におけるリプログラミングの制御機構の解明を目指し、円形精子細胞由来父性ゲノムが精子由来のそれと異なり高メチル化状態になる分子機構の解析を行っている。平成17年度の研究計画に沿って研究を行った結果、以下のことを明らかにすることができた。1)精子と円形精子細胞を用いた顕微授精における卵子活性化方法の違いが父性ゲノムのDNAメチル化状態の違いを引き起こす可能性を検討した。その結果、熱処理により卵子活性化能を不活化した精子においてもDNAのメチル化レベルに変化はなく、卵子の活性化の方法は受精後のDNAのメチル化に影響しないことが示唆された。2)父性ゲノムのメチル化状態に影響を与える精子と精子細胞由来のトランス因子の有無の検討を行った。即ち、同一卵子に精子と精子細胞を共注入し、それぞれの父性ゲノムのメチル化状態を調べた。その結果、精子と精子細胞は互いのメチル化レベルに影響せず、そのようなトランス因子の存在する可能性は低いことが示唆された。3)父性ゲノムのメチル化状態に影響を与える精子と精子細胞由来ゲノムのシス因子の有無の検討を行った。即ち、精子と円形精子細胞またはそれら受精後のゲノムにおいてヒストンの修飾状態の違いの有無について検討を行った。その結果、少なくともpericentromericな領域においてはDNAのメチル化と関係の深いヒストンH3の9番目のリジンのメチル化状態が精子と精子細胞では異なることを見出した。従って、精子と精子細胞由来ゲノムのこの領域におけるDNAのメチル化状態の違いはヒストンの修飾の違いによる可能性が示唆された。最近、以上の結果をまとめ論文にて公表した。
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