2006 Fiscal Year Annual Research Report
原虫の赤血球侵入を阻容する糖鎖ライブラリーの構築とそのバベシア症治療薬への応用
Project/Area Number |
17780225
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
岡村 雅史 北里大学, 獣医畜産学部, 講師 (70374775)
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Keywords | シアル酸 / 赤血球 / バベシア原虫 |
Research Abstract |
前年度は、ウマバベシア原虫(Babesia equiおよびB. caballi)の赤血球感染において、宿主シアル酸がレセプター候補であることを明らかにした。今年度は、トリプシンあるいはキモトリプシン処理赤血球へのウシバベシア原虫(B. bovisおよびB. bigemina)の接着・侵入の詳細な検討により、ウシ赤血球表面のシアル酸を含む糖蛋白質分子がトリプシン感受性であること、そしてこれがウシバベシア原虫の赤血球侵入を抑制することを見出した。このウシバベシア原虫に特異的なシアル酸の赤血球侵入への関与をさらに共焦点レーザー顕微鏡を用いて検討した結果、原虫の侵入に伴って赤血球膜表面のシアル酸が赤血球内部へ取り込まれた後、赤血球内バベシア原虫の表面へと段階的に移動する像が認められた。以上のことから、シアル酸がB. bovisの赤血球侵入に重要な役割を担っていると考えられた。次に、シアル酸を豊富に含むグライコフォリンAを欠損したマウスを用いてマウスバベシア原虫(B. rodohaini)感染試験を行ったところ、本来致死的経過を示す本感染に対してグライコフォリン欠損マウスは抵抗性を示したため、シアル酸を各種バベシア感染に対する治療に応用し得る糖鎖ライブラリーの主要メンバーと位置づけた。また、上記試験と並行してその他の糖鎖、特に硫酸化多糖(フコイダン、ヘパリン、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、デキストラン硫酸)についても検討し、その原虫侵入抑制効果が観察されたことから、シアル酸とともに当該糖鎖ライブラリーを構築するメンバーとして加えられた。
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