2006 Fiscal Year Annual Research Report
野鳥由来インフルエンザウイルスの家禽集団への侵入機序の解明
Project/Area Number |
17780230
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
伊藤 啓史 鳥取大学, 農学部, 助教授 (10332777)
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Keywords | 鳥インフルエンザウイルス / 水禽 / 鶏 / 宿主域 / ノイラミニダーゼ / ヘマグルチニン |
Research Abstract |
インフルエンザウイルスの増殖には適切なヘマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)の活性のバランスが重要である。これまでの研究から、野生水禽由来鳥インフルエンザウイルスの鶏での増殖能獲得には、HAとNAの変異が関与していることを明らかとなった。そこで、本年度はHAとNAがどのようなステップで変異し、水禽由来ウイルスが鶏で増殖可能となるのかを明らかににする目的で研究を実施し、以下の結果を得た。 1.水禽由来株とそれを鶏ヒナで継代し作出した鶏増殖能獲得変異株(以下、変異株)、および継代中間株(鶏非増殖性、以下、中間株)のNA活性の強さは水禽由来株<中間株<変異株であった。 2.昨年度に得られた成績および中間株のNA遺伝子解析から、まず中間株までの継代でNAの253位のアミノ酸が置換し、NA活性を減弱させ、さらに変異株までの継代で369位のアミノ酸が置換することにより、変異株のNA活性がより弱く変異したことが明らかとなった。 3.各株が鶏赤血球を一旦凝集した後、血球を遊離するまでの時間は、変異株では数時間であったのに対し、水禽由来株および中間株では24時間以上でも認められなかった。したがって変異株のHAは、弱いNA活性でもレセプターから遊離できる弱いレセプター結合能を有しており、一方、水禽由来株および中間株のHAは、強いNA活性でもレセプターから遊離できない強いレセプター結合能を有していると考えられた。 4.これまでの成績および中間株のHA1遺伝子解析から、HAの4カ所のアミノ酸置換が変異株のレセプター結合能の減弱に関与していると考えられた。
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Research Products
(2 results)