2005 Fiscal Year Annual Research Report
イヌのNeospora caninum感染症の臨床的研究
Project/Area Number |
17780237
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
板本 和仁 山口大学, 農学部, 助手 (50379921)
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Keywords | Neospora caninum / イヌ / 画像診断 / MRI / 中枢神経 |
Research Abstract |
ネオスポラ感染症は胞子虫綱に属するNeospora caninumによる感染症で、1988年に米国でイヌの脳神経組織内で確認された比較的新しい疾病である。本研究ではイヌのネオスポラ感染症の臨床的研究として、以下の点を明らかにすることを目的とした。本研究で得られた神経症状を呈した症例での抗体陽性率は16.6%(10/60)であった。また神経症状を呈していない症例(n=100)で得られた抗体陽性率は2%であり、中枢神経疾患へのNeospora caninumの関与が疑われた。性別はオス(7/27)、メス(3/32)で性差は認められず、抗体陽性例の平均年齢は8.3歳(SD=3.4)であった。また血液生化学検査では一定の傾向は認められなかった。主な症状は強直性発作(7/10)、歩様異常(3/10)が認められた。MRI検査の結果ではMRI画像は個々の症例で様々な様相を呈し、T2強調画像でび漫性、限局性、散在性の高信号領域を認め、多くは髄膜脳炎様の画像が得られた。歩様異常を示した症例は小脳病変(1/3)がまたは脊髄病変(2/3)が認められた。頸部脊髄病変が認められた2例はいずれも、MR画像上、脳幹に炎症性病巣および第四脳室の高度の拡張が認められており、脊髄病変は延髄-脊髄移行部の障害に伴い、二次的に起こったものと考えられる。MRIで腫瘤様の病変が認められた症例5および症例8では、外科的摘出が実施されており、それぞれ病理学的に非化膿性脳炎および髄膜腫と診断されたがいずれも原虫虫体は確認されていない。今後、これらの症例の追跡調査を行い、より詳細な病理組織学的検討を行う必要があると考えられる。
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