2005 Fiscal Year Annual Research Report
乳牛の乾乳期におけるCD4+T細胞に対するインスリンの効果に関する研究
Project/Area Number |
17780238
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
大塚 浩通 北里大学, 獣医畜産学部, 講師 (40327458)
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Keywords | 乳牛 / CD4^+T細胞 / インスリン / 免疫機能 / 栄養 |
Research Abstract |
本年度は平成17年度研究目的であった健康牛のCD4^+T細胞の分離培養と牛インスリンレセプター遺伝子析方法の確立と乳牛の周産期におけるインスリン反応性について検証した。 本年度は当初の計画を達成し、ウシインスリンレセプター遺伝子の定量系を確立できた。そこで、それを使用して臨床的に健康な飼料給与内容に不足のあった牧場と飼料給与内容が充実していた2牧場において飼育されていた乳牛を6頭ずつ選別して、分娩前から分娩後にかけて採血を実施し経過を観察した。その結果、飼料設計に不足があり、血液生化学検査において栄養状態が充足していた群に比べ低血糖、低コレステロールが持続していた栄養不良群のウシでは、(1)分娩後の末梢血CD3^+ならびにCD4^+T細胞数が持続的に低値で推移、(2)分娩前後のCD21^+B細胞数が分娩前後において持続的に低値、(3)分娩後のCD4^+/CD8^+比が持続的に低値、(4)単核球刺激による遺伝子発現量において、分娩前IL-10発現量が少なく、分娩後のIFNγ/IL-4比が持続的に低値、(5)乾乳期におけるインスリン負荷試験での反応性が低下している、(6)乾乳期における単核球中インスリンレセプター遺伝子発現量が低値、であることが明らかとなった。以上のことから、乳牛では栄養不足の飼養管理にある場合には、乾乳期における白血球のインスリン反応性が低く、分娩後の細胞性免疫機能の低下のあることが疑われた。 このことを踏まえ、来年度は末梢血CD4+T細胞のインスリン刺激培養系における活性の測定と栄養状態との関連について調査する。
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