2005 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内輸送工学に基づく異種分泌タンパク質の安定化と効率的分泌生産
Project/Area Number |
17780249
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
新谷 尚弘 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (70374973)
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Keywords | 細胞内輸送工学 / 異種タンパク質分泌 |
Research Abstract |
真核細胞の分泌タンパク質は巧みな品質管理を受け、正しい立体構造をもつ分子のみが分泌される。正しい立体構造が得られなかったタンパク質は、分泌過程(主に小胞体)において分解される。この品質管理機構は、細胞の恒常性維持には必要な機構であるが、工学的には異種タンパク質の分泌生産量の低下をもたらすことが考えられる。この問題を回避するために、計画に従い研究を進めた。 変異型カルボキシペプチダーゼY(CPY*)はフォールディングに欠損があり、小胞体で分解される。そこで、CPY*の小胞体への蓄積を回避するマルチコピーサプレッサーの取得を試みた。Unfolded protein responseが誘導されない出芽酵母株におけるCPY*の過剰発現は致死である。この致死性を抑制するマルチコピーサプレッサーのスクリーニングを行った。出芽酵母ゲノムDNAを含むマルチコピープラスミド・ライブラリを導入し、候補クローンを約20クローン得た。しかし、得られたクローンはすべてCPY*を過剰発現するために用いたGALプロモータを含む配列であった。つまり、GALプロモータのコピー数が増加する事によるGAL転写制御因子のタイトレーションアウトが起こり、CPY*の発現量が低下し、致死性を抑制したと考えられた。そこで、CPY*のカルボキシ末端にインベルターゼを融合したタンパク質を発現させ、CPY*の小胞体での分解を回避し、ゴルジ体まで輸送される変異株を取得する事とした。CPY*-インベルターゼ融合タンパク質は野生株では小胞体で分解されるが、ある変異により小胞体を経てトランスゴルジまで到達すればインベルターゼが細胞外に分泌されるようにデザインされている。現在、分泌されたインベルターゼ活性を指標として、変異株のスクリーニングを行っている。
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