2006 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナのエコタイプを用いた植物の塩ストレス耐性に関わるQTL解析
Project/Area Number |
17780256
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
太治 輝昭 東京農業大学, 応用生物科学部, 助手 (60360583)
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Keywords | 塩ストレス / QTL / エコタイプ / 塩生植物 |
Research Abstract |
塩生植物Thellungiella halophilaはモデル植物Arabidopsis thalianaの近似種でありながら顕著な耐塩性・耐凍性・耐熱性を示す、非常に遺伝子資源に富む研究材料である。前年度からT.halophilaの6つのエコタイプおよびA.thalianaを代表する2つのエコタイプを用いて、メタボローム解析(GS/MS, CE/MS, LC/MS)を行った。その結果、T.halophilaの6つのエコタイプはそれぞれ同程度の耐塩性を示すにも関わらず、塩ストレスに対して2タイプの代謝変化を示すことが明らかとなった。この2タイプの地上部におけるNa^+含量を測定したところ、代謝レベルの変化に乏しいグループに比べて、変化の著しいグループの方がNa^+を優位に蓄積していることが明らかとなった。これらの結果より、T.halophilaには、Na^+の蓄積を抑制することによつて耐性を獲得するメカニズムと塩に対して代謝レベルで応答し、耐性を獲得するメカニズムの2つの存在が示唆された。 この他、モデル植物Arabidopsis thalianaのエコタイプに顕著な耐塩性を示すエコタイプを見いだし、その原因遺伝子のマッピングを行っている。このうち、A.thaliana Bu-5は塩馴化に優れていることを明らかとなった。Bu-5の塩馴化因子をマッピングしたところ、一つの遺伝子座にのみ極めて高いリンクを示し、その遺伝子座を約60kb以内に絞り込むことに成功した。マイクロアレイ解析の結果より、この領域内に存在する遺伝子群に転写レベルでの違いは認められなかったものの、この領域内には既存の耐塩性に関わる遺伝子が存在しないことから、新規の耐塩性機構の発見が期待される。この研究に関しては現在論文を執筆中である。 以上の研究に関しては2007年3月に愛媛で行われた、日本植物生理学会において6件の学会発表を行い、十分に研究内容をアピールすることに成功した。
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Research Products
(3 results)