2005 Fiscal Year Annual Research Report
Ru触媒を用いるエン-ジイン化合物のエナンチオ場選択的不斉環化反応の開発
Project/Area Number |
17790001
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
瀧本 真徳 独立行政法人理化学研究所, 侯有機金属化学研究室, 研究員 (50312377)
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Keywords | ルテニウム / 環化反応 / 不斉合成 / エニン / エンジイン / 1,3-ジエン |
Research Abstract |
当該研究課題実施の初年度である平成17年度において、本研究代表者は、ルテニウム触媒を利用した新たな触媒的不斉環化反応の開発を目指し、当該反応に関する基礎的研究を行った。以下にその方法と結果の概略を記す。 本研究代表者は既に分子両端に芳香族アルキン部位とα,β-不飽和エステル構造を持つエニン化合物を触媒量のルテニウム錯体RuH_2(CO)(PPh_3)_3をトルエン中反応させるとエステルのβ-位のC-H結合活性化を経てエニンの環化反応が進行し、(E,E)-1,3-ジエン構造を有する環化体が生成することを見出している。今回、同反応をエナンチオ場選択的不斉反応へと展開すべく、エナンチオトピックな関係にある二つの芳香族アルキン部位と一つのα,β-不飽和エステル構造を分子内に持つエンジイン化合物を基質としてデザインし、まずRuH_2(CO)(PPh_3)_3を触媒とする環化反応を試みた。その結果、当初の予想とは異なり、得られた環化体はその1,3-ジエン構造において(E,E)-と(E,Z)-の両異性体が存在する混合物となった。そこで、不斉反応への展開に先立ち、本課題を解決すべく触媒系の再検討を行なったところ、Ru(C_5Me_5)Cl(cod)を触媒として用いると、望みの環化体が選択的に得られることを見出した。また、[RuCl_2(p-cymene)]_2をリン配位子存在下、ギ酸ナトリウムで還元した触媒系も適用可能であった。今後は、これらの触媒系をモデルとし、当初の目的に従った不斉触媒系の構築を検討する予定である。
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Research Products
(3 results)