2006 Fiscal Year Annual Research Report
Ru触媒を用いるエン-ジイン化合物のエナンチオ場選択的不斉環化反応の開発
Project/Area Number |
17790001
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
瀧本 真徳 独立行政法人理化学研究所, 侯有機金属化学研究室, 研究員 (50312377)
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Keywords | ルテニウム / 環化反応 / 不斉合成 / エニン / エンジイン / 1,3-ジエン |
Research Abstract |
本研究代表者は既に前年度の研究において分子両端に芳香族アルキンとα,β-不飽和エステル構造を持つエニン化合物を触媒量のルテニウム錯体RuH_2(CO)(PPh_3)_3やRu(C_5Me_5)Cl(cod)、または[RuCl_2(p-cymene)]_2をリン配位子存在下ギ酸ナトリウムで還元した触媒系などを作用させるとエステルのβ-位のC-H結合活性化を経てエニンの環化反応が進行し、(E,E)-1,3-ジエン構造を有する環化体が生成することを見出している。本平成18年度の研究では、当初の研究計画に従い、種々の不斉配位子の存在下に反応を行うことで、本反応の不斉環化反応への展開を試みた。 まず、RuH_2(CO)(PPh_3)_3と各種二座不斉リン配位子の存在下反応を試みたところ、BINAP等の配位子を用いた場合、期待した反応は進行したもののその鏡像異性体過剰率は10%以下に留まった。一方、Me-DuPHOSを用いる反応では鏡像異性体過剰率は27%程度まで向上したが、化学収率に大きな問題が見られた。また、ホスフィンフリーの触媒前駆体であるRu(C_5Me_5)Cl(cod)と各種不斉リン配位子の反応を試みたところ、MOP等の単座不斉配位子との組み合わせにおいて化学収率収率の向上が見られたが、鏡像異性体過剰率に関しては何れも低い値を与えるのみであった。そこで、本反応の不斉化に対しては反応機構に対するより深い理解が必要と考え検討を行ったところ、RuH_2(CO)(PPh_3)_3とRu(C_5Me_5)Cl(cod)を用いる反応系では反応機構が異なっており、後者の反応系ではエニンの酸化的環化付加を経て反応が進行している可能性が示唆する結果が得られた。
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Research Products
(3 results)