2005 Fiscal Year Annual Research Report
新規水溶性金属錯体を用いる水中触媒反応の開発と展開
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17790004
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
吉田 昌裕 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教授 (10344681)
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Keywords | 水中反応 / パラジウム / カルベン / ボロン酸 / エポキシド / アルキン / 不斉反応 / アレン |
Research Abstract |
今回研究実施者は水中における遷移金属触媒反応に着目し、本反応に有効な触媒活性及び触媒効率の高い新規水溶性配位子の開発、並びに新規含水系遷移金属触媒反応の開発を目指し、その検討を行った。 はじめに新規水溶性配位子として、分子内に親水性の官能基が導入されたカルベン型配位子となりうるイミダゾリウム塩の開発を行った。その結果、分子内にスルホン酸基を有する新規イミダゾリウム塩を合成することに成功した。今後本配位子を用いるパラジウム-カルベン錯体の合成、及び本錯体を用いた様々な水中でのパラジウム触媒反応の検討を行う予定である。 また新規含水系遷移金属触媒反応として、プロパルギルエポキシドに対し、パラジウム触媒存在下アリールボロン酸を作用させたると、antiの立体化学を持つアリール置換2,3-アレノールが高い立体選択性で生成することを見出した。本反応は含水溶媒中にて行うと反応性が向上し、高収率で生成物を与える。本反応は様々な置換様式を持つプロパルギルエポキシド及びアリールボロン酸に対し適用可能であり、光学活性なプロパルギルエポキシドに対し、本反応を適用するとその不斉が保持されたまま反応が進行し、軸性不斉を有する光学活性アレンが高い光学純度で得られてくることを見出した。反応機構として、基質に対するパラジウムのanti-S_N2'型の攻撃によりアレニルパラジウムが立体選択的に生成し、その後アリールボロン酸より生じたアート型ボロン種とのトランスメタル化が進行することで置換アレンを立体選択的に与えたものと考えられる。現在本反応の更なる展開として、他の反応剤存在下におけるプロパルギルエポキシドの反応性について検討中である。
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Research Products
(2 results)