2005 Fiscal Year Annual Research Report
温度応答性高分子を用いる新規リサイクル型触媒の開発
Project/Area Number |
17790018
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
濱本 博三 帝京大学, 薬学部, 助手 (40365896)
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Keywords | 合成化学 / 高分子構造・物性 / 高分子合成 / 触媒・化学プロセス / 有機化学 |
Research Abstract |
機能性高分子であるポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAAm)が温度変化に応答してその親・疎水性質を変化させることに着目し、この挙動を有効に活用した新たなリサイクル型触媒反応システムの設計を行った。 PNIPAAmと金属酸化物クラスターからなる複合触媒を調製し、水中における温度応答性質について調べたところ、高温で温度依存的にエマルジョン種を形成することを見出した。そこで、このエマルジョン種を有機反応における疎水性反応場として活用することを鍵とする新たな有機反応システムの開発を行った。その結果、この反応システムが過酸化水素水を用いるアルコール類の酸化反応に有用であり、高収率でケトン体およびカルボン酸生成物を与えることを見出した。さらに、触媒は低温にすることで容易に回収することができ、その再利用も可能であった。なお、高分子組成の工夫により触媒の温度応答性を調節することができ、金属酸化物クラスターの選択により触媒活性を制御することが可能であった。特に、水中で過酸化水素水を用いる本リサイクル型反応システムは、環境に優しい酸化反応系と考えられる。 さらに、この複合触媒の特性を活かした反応設計を試み、三相系反応システムとゲル・フェーズ反応システムの開発にも成功し、これらのシステムが過酸化水素水を用いる(a)ベンジルアミン類の酸化反応によるカルボニル化合物合成反応や(b)4-ペンテン酸誘導体の酸化的環化反応に有用であることを明らかにした。
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