2005 Fiscal Year Annual Research Report
ガン細胞においてアポートシス誘導作用を有するソマトソタチンアナログの合成研究
Project/Area Number |
17790026
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
宮崎 杏奈 神戸学院大学, 薬学部, 実験助手 (00340919)
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Keywords | ソマトスタチン / 細胞増殖抑制活性 |
Research Abstract |
受容体親和性や細胞膜透過を狙い、既に報告されているソマトスタチンアナログ([A]:{pyrazinone}-Tyr-D-Trp-Lys)のTyrを2.6-Dimethyl-L-tyrosine(Dmt)やPheで置換した化合物を合成し、NMR、TOF-MS、元素分析で同定を行った。これらの化合物において、ソマトスタチン受容体サブタイプ1(SSTR1)が発現しているA431細胞に対する細胞増殖抑制活性を検討した。[A]はA431の増殖を90%阻害したのに対し、今回合成した化合物はほとんど活性を示さなかった。この結果により、細胞増殖抑制活性におけるTyrの重要性が示唆された。また、活性に重要と思われるTyr-D-Trp-Lys部分のC末Lysを、より脂溶性が高く、立体障害の大きい官能基(Adamanthane基)で置換した直鎖ペプチド([B]:H-Tyr-D-Trp-1-NH-Adamanthane)も合成し、それらの活性についても上記と同様に検討したところ、[A]よりも強力であった。このようにわずか3残基のみで強力な細胞増殖抑制活性を示した事は大変興味深い結果であった。そこで我々はC末部の脂溶性に着目し、C末部の構造活性相関を検討することとした。また[B]のN末に蛍光物質を付加した化合物を合成し、その細胞内動向についても現在検討中である。一方、活性が強かった2種類の化合物:[A]と[B]において、ソマトスタチン受容体に対する親和性を検討した。両化合物とも、すべてのサブタイプ(SSTR1-5)に適度な親和性を示し、中でもSSTR2に最も強く結合した。両化合物間での親和性の違いは大きくなかったが、[B]はソマトスタチンに匹敵するほどであった。受容体を介してアポトーシスが実行されるとすれば、SSTR2を発現している腫瘍細胞に対する活性はA431の場合よりも期待できるであろう。
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