2006 Fiscal Year Annual Research Report
ガン細胞においてアポートシス誘導作用を有するソマトソタチンアナログの合成研究
Project/Area Number |
17790026
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
宮崎 杏奈 神戸学院大学, 薬学部, 実験助手 (00340919)
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Keywords | ソマトスタチン / アダマンチル基 / アポトーシス |
Research Abstract |
ソマトスタチンは14残基からなる環状ペプチドで、成長ホルモン放出抑制や種々の内因性ホルモンの分泌調節だけでなく細胞増殖に関与するホルモンとしても知られている。これまでに報告されているソマトスタチンアナログのうち、TT-232:_D-Phe-c(Cys-Tyr-_D-Trp-Lys-Cys)-Thr-NH_2はソマトスタチン様作用を不さず、ガン細胞に対して強力な増殖抑制活性を示すペプチドとして報告された。我々はその必須配列であるTyr-_D-Trp-Lysに着目し、これまでに様々なソマトスタチンアナログをデザイン、合成し、その構造活性相関について検討してきた。その結果、ガン細胞に対する増殖抑制活性にはN末、C末の疎水性が重要であることがわかり、N末はBoc基、C末Lysは他の疎水性置換基で置換することとした。その中で、C末にAdamantylamide基を有するBoc-Tyr-_D-Trp-1-Adamantylamideは、扁平上皮ガン細胞であるA431細胞に対して50μMで93%の細胞増殖抑制活性を不した。この活性はTT-232やシクロヘキシミドよりも強力であった。同様に大腸ガン細胞であるSW480に対しても95%もの増殖抑制活性を示した。C末には、Adamantyl基だけでなく、9-fluorenyl methyl ester、1-naphthylamide、t-butylamide、4-methylcoumarine-7-yl amideなどAdamantyl基と同様、疎水性とかさ高さを有する置換基を導入したが、そこまで強力な活性を示すことはなかった。この事より、C末部での疎水性に加え、rigidityや脂肪族性も重要であると考えられる。Adamatylamide基を有するペプチドは、N末にBoc基を導入していない場合でも90%の活性を示した。さらにこの化合物のA431細胞におけるアポトーシスの有無についてフローサイトメトリーを用いて検討した結果、subG1期における顕著なDNA断片化がみられた。また、化合物と処理後の細胞の様子を顕微鏡で観察した際、形態学的な変化もみられた。これらの事は、この化合物がA431細胞に対してアポトーシスを誘発したという事を示唆している。今後は、-Tyr-_D-Trp-Adamantylamide配列をテンプレートとし、さらに強力で選択性のあるアナログの開発に臨んで行きたい。
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Research Products
(1 results)