2007 Fiscal Year Annual Research Report
ガン細胞においてアポトーシス誘導作用を有するソマトソタチンアナログの合成研究
Project/Area Number |
17790026
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
宮崎 杏奈 Kobe Gakuin University, 薬学部, 実験助手 (00340919)
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Keywords | ソマトスタチン / 細胞増殖抑制活性 / アポトーシス / アダマンチル基 |
Research Abstract |
ソマトスタチンはウシの視床下部から単離された14残基からなる環状ペプチドで、成長ホルモン放出抑制や種々の内因性ホルモンの分泌調節だけでなく細胞増殖に関与するホルモンとしても知られている。これまでに報告されているソマトスタチンアナログのうち、TT-232:D-Phe-c(Cys-Tyr-D-Trp-Lys-Cys)-Thr-NH_2はソマトスタチン様作用を示さず、ガン細胞に対して強力な細胞増殖抑制活性を示すペプチドとして報告された。我々はその必須配列であるTyr-D-Trp-Lysに着目し、これまでに様々なソマトスタチンアナログを合成し、その構造活性相関について検討してきた。その中で、C末にAdamantylamide基を有するBoc-Tyr-D-Trp-1-Adamantylamideは、扁平上皮ガン細胞であるA431細胞や大腸ガン細胞であるSW480細胞に対して50μMでそれぞれ93%、95%の細胞増殖抑制活性を示した。この活性はTT-232よりも強力であった。N末にBoc基を導入していないH-Tyr-D-Trp-1-Adamantylamideも非常に強力な活性を示した(91%on A431)。今回は、この化合物のColon26(大腸ガン)細胞に対する生物学的検討を行い、以下の知見を得た。 1フローサイトメトリーを用いた細胞周期への影響:S期DNA減少、sub-G1期DNA増加 1-(1)G1アレスト細胞を用いた化合物のG1期への影響:G1期阻害 1-(2)BrdU/7-AAD二重染色を用いた化合物のDNA合成への影響:S期におけるDNA複製阻害なし 2In vivoにおける血中半減期:マウス、ラットにおける体内動態は約2分 3HPLCを用いた化合物の安定性:全血、血清、肝ホモジネート中で安定 4化合物をラットへ静脈内投与後30分の尿中排泄:ごくわずか 以上より、化合物はG1期を阻害し、アポトーシスを誘発する事が示唆された。さらに、ラットを用いたin vivoにおける検討の結果、化合物の血中からの速やかな消失は体内分布によるものと推測された。 今回得られた結果は、この化合物がペプチド性化合物でありながら、臨床でも十分に使用する事ができるという今後の可能性を示唆するものである。
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Research Products
(6 results)