2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17790029
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
戸塚 裕一 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助手 (50312963)
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Keywords | ナノ微粒子 / データマイニング / ニューラルネットワーク / 多変量解析 / 混合粉砕 / 固体NMR |
Research Abstract |
医薬品ナノ粒子を作成する手法として2つの方法に特化し、1.シクロデキストリンと難水溶性医薬品との混合粉砕法、2.医薬品/水溶性高分子/界面活性剤の混合粉砕法の2つに着目し、データマイニングを行うためのデータウェアハウスの作成に取り組んだ。1の手法の場合には医薬品の種類、シクロデキストリンの種類、混合粉砕の条件の3つをinput parameter、ナノ微粒子のサイズ、収率をoutputとなるようなデータベースの作成に取り組んだ。この場合、粉体の物理化学的特性を何かのパラメターで現すことが困難であったため、今後粉砕時の粉体のキャラクタリゼーションを行い、解析に適した物性値の探索と、ナノ微粒子の形成要因のマイニングを進めていく予定である。 一方、2の方法については、probucol/PVP/SDSの混合粉砕物を水に分散することで、PVPの分子量に依存したナノ微粒子形成が起こることを報告した。特に、probucol/PVPK17/SDS混合粉砕物について、固体及び懸濁液状態での安定性、混合粉砕物中の3成分の分子状態について検討し、データベース化を試みた。医薬品とひとつの添加剤からなる2成分系(probucol/PVP、probucol/SDS)の混合粉砕物を水中に分散してもナノサイズの微粒子は形成しないため、3成分の混合が必要であることが判明した。混合粉砕時に生じる3成分間の相互作用について、固体NMR測定を行ったところ、probucolのOH基に隣接する炭素の低磁場シフト及びベンゼン環周辺の環境変化に由来すると考えられる140ppm付近に認められる新規のピークが観察された。また、SDSのC1炭素においても高磁場側に肩ピークが観察され、PVPとSDS間の相互作用に由来すると考えられた。今後はこれらの結果を肩ピークの面積の変化、ピークのシフト等を明確にして、ナノ微粒子形成が起こるための必要条件の探索を行う予定である。いずれにしてもデータの解析には相当数のデータベースの確保が必要になり、今後も地道に実験の例数を増やしていくことがまず必要である。
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