2005 Fiscal Year Annual Research Report
磁気共鳴装置を用いた胃潰瘍・潰瘍性大腸炎に関わる生体内フリーラジカル反応の解析
Project/Area Number |
17790035
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安川 圭司 九州大学, 薬学研究院, 助手 (80372738)
|
Keywords | フリーラジカル / 活性酸素 / 電子スピン共鳴 / 胃潰瘍 / 潰瘍性大腸炎 |
Research Abstract |
胃潰瘍や潰瘍性大腸炎の成因・進展に活性酸素やフリーラジカルが関与することが指摘されている。生体計測電子スピン共鳴(in vivo ESR)/ニトロキシルプローブ法は生体内フリーラジカル動態を明らかにする強力なツールであり、種々の疾患モデル動物での活性酸素動態が報告されている。最近、新規フリーラジカル画像化装置であるオーバーハウザーMRI(OMRIまたはPEDRI)が開発された。本研究ではin vivo ESR/ニトロキシルプローブ法の量的評価の必要性から、スピンプローブ剤と活性酸素との反応性に関する基礎検討を行い、画像化手法や組織学的評価法等との併用により、胃潰瘍や潰瘍性大腸炎のモデル動物におけるフリーラジカル生成機序を解明することを目的とした。 鉄(II)/過酸化水素系で発生させたヒドロキシルラジカル(・OH)をスピントラップ剤DMPOに捕捉して生成量を定量すると共に・OHによるプローブのシグナル減衰速度を求め、両者間に良い相関があることを明らかにした。また、プローブとDMPOとの競合反応を解析した結果、DMPO添加はニトロキシルプローブのシグナル減衰を阻害し、プローブの3倍濃度のDMPO添加で完全に阻害した。 インドメタシン惹起胃潰瘍モデルにin vivo ESR/ニトロキシルプローブ法を応用し、H & E染色も併用し、組織学的傷害を受けた胃粘膜の上皮細胞内における活性酸素生成を明らかにした。 OMRIで異なる核種(^<14>N,^<15>N)のプローブ分布を同時分離画像化する手法を開発し、インドメタシン惹起胃潰瘍ラットの胃粘液層、上皮細胞内での・OH生成を明らかにした。さらに、デキストラン硫酸ナトリウム惹起大腸炎にも応用し、発症段階における大腸上皮細胞内での・OH以外の活性酸素生成、軽度の進行段階で上皮細胞内、膜近傍での・OH生成、さらに増悪段階で上皮細胞外、膜近傍での・OH生成を明らかにした。
|