2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳虚血再潅流マウスにおける微小空間フリーラジカル反応の無侵襲解析
Project/Area Number |
17790037
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大和 真由実 九州大学, 大学院薬学研究院, 助手 (30380695)
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Keywords | 活性酸素 / フリーラジカル / 生体計測ESR / 脳虚血再灌流 |
Research Abstract |
本研究は、生体計測ESR装置/スピンプローブ法を用いて、脳虚血再灌流時の生体膜及び脳実質におけるROS生成を同時に分離解析することを目的としている。生体膜局在性及び血液脳関門透過性を有するmethoxycarbonyl-PROXYLをスピンプローブとして用いた場合、膜に分配したニトロキシルラジカルと水相成分に分配したそれとは、スペクトルから区別することができることから、異なる環境におけるフリーラジカル反応が分離解析可能である。 Methoxycarbonyl-PROXYLの膜内外での局在を検討するために、リポソーム膜を用いたin vitro実験を行ったところ、水溶性成分に対する脂溶性成分への分配比は、リポソーム濃度依存的に増加した。さらにリポキシゲナーゼによるリノール酸過酸化反応により生成する脂質由来ラジカルと反応し常磁性を消失することも確認している。 脳虚血再灌流マウスにおける脂質過酸化反応のリアルタイム解析では、ナイロン糸を用いた中大脳動脈閉塞マウスを作成し、脳虚血細管流時におけるフリーラジカル反応のin vivo無侵襲解析を行った。虚血1時間再灌流1時間においては、Methoxycarbonyl-PROXYLの脂溶性成分のスペクトルのみ有意なシグナル減衰の亢進を示し、脂質ラジカル消去剤であるトロロックスの同時投与によりその亢進は抑制された。水相成分に分布したスペクトルのシグナル減衰は、病態群およびシャム手術群に差は認められなかった。今後、再灌流時間に伴うラジカル生成場の違いを検討していく予定である。
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