2006 Fiscal Year Annual Research Report
Dアミノ酸含有活性タンパク質の無細胞系による簡易合成法の確立およびその応用
Project/Area Number |
17790041
|
Research Institution | Josai International University |
Principal Investigator |
新垣 知輝 城西国際大学, 薬学部, 講師 (80314748)
|
Keywords | D-アミノ酸 / 蛋白質合成 / 無細胞 / Luciferase / Cystine / Cysteine / S-S Dimer / SH基 |
Research Abstract |
近年、D-アミノ酸が生体内に存在するだけでなく、様々な生理活性をも有していることが明らかになってきている。またアミノ酸がラセミ化することでタンパク質中にD-アミノ酸が生じ、これがアルツハイマーや白内障を引き起こす要因の一つであるとも言われている。しかしながら、通常の方法ではD-アミノ酸を含有するタンパク質を合成することは困難であることから、その生理活性には不明な点が多い。無細胞蛋白質合成系はin vitroで簡便かつ大量に遺伝子からタンパク質を得る方法として、最近、様々なタンパク質を合成する用途に用いられている。これら無細胞合成系は、細胞の蛋白質合成系の部分のみを抽出してきたものが多いことから、通常、細胞の排除・分解機構により得られない異常タンパク質も合成できる可能性を有している。そこでD-アミノ酸を添加した条件にて、タンパク質にD-アミノ酸が取り込まれるか、その基礎的検討を行った。 大腸菌のタンパク質翻訳系を再構成した系において、大過剰にD-Aspを加えることにより、蛋白の活性の低下が認められた。GFP合成においては、GFP蛋白の合成量の低下も同時に認められたことから、D-Aspによる合成阻害の可能性が考えられるが、Luciferase合成においては蛋白量の低下も認められないことから、D-Aspの取り込みが行われ活性が低下している可能性も示唆された。 また、この無細胞蛋白質合成系にアミノ酸を大過剰加えたところ、システインを加えた時のみ、タンパク質の合成促進が認められた。この効果は通常の還元剤では見られず、SH基を有する還元剤のみで認められた。一方、S-SdimerによりSH基が失われた場合、タンパク質合成の抑制が認められた。この両者の関係について検討したところ、競合的阻害作用によるものと明らかになった。
|