2005 Fiscal Year Annual Research Report
APP細胞内領域断片のリン酸化による細胞内情報伝達経路の制御機構解明
Project/Area Number |
17790046
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中矢 正 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (50374559)
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Keywords | アルツハイマー病 / APP / FE65 / 細胞内情報伝達機構 / リン酸化 |
Research Abstract |
アルツハイマー病原因因子APPの細胞内領域に存在する668番目のスレオニン(Thr668)は脳組織特異的にリン酸化されることがこれまでに明らかになっている。本研究では、APPの切断断片であるAPP細胞内領域断片(AICD)のリン酸化に着目し、その生理機能の解明に取り組んでいる。平成17年度において以下の事象について明ちかにした。1.脳組織においてAICDはリン酸化されたものと非リン酸化型が存在しているが、核分画においては非リン酸化型が存在している。2.AICDは核内で機能していると考えられるため、その核移行がどのような機構で行われているのか調べた。これまで、細胞内アダプター分子FE65によって核内に移行していると考えられてきたが、内在性AICDの局在を調べた結果、FE65の有無もしくは、FE65との結合に必要な領域に変異を入れた場合においてもAICDの核局在が認められることが分かった。このことから、AICDは核内に常時局在しており、FE65が核内に移行してくるとAICD-FE65の複合体を作り、機能すると考えられた。 全長APPとFE65を細胞に共発現させるとFE65は膜上のAPPと結合していることが確認できる。APPとFE65の結合はThr668のリン酸化によって減弱することが明らかになっていたことから、培養細胞においてThr668リン酸化を促進する刺激を与えたところ、膜上APPに結合していたFE65が膜分画から遊離する現象が確認できた。以上の結果から、全長APP-FE65の複合体が常時形成されており、APPのThr668のリン酸化が生じるとFE65が膜から遊離し、核内に移行した後、核内に存在するAICDと共に核内において機能を発揮しうる、という情報伝達カスケードの一端が明らかにできた。
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