2005 Fiscal Year Annual Research Report
白色脂肪組織形成におけるFGF10の役割とその分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
17790060
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小西 守周 京都大学, 薬学研究科, 助手 (00322165)
|
Keywords | 脂肪組織 / FGF / 増殖 / 組織形成 |
Research Abstract |
白色脂肪組織(WAT)の過形成である肥満症は、様々な代謝異常症候群の発症原因となることから、 WAT形成の分子機構の解明が期待されている。細胞間シグナル因子Fgf10はWAT形成過程において、脂肪細胞の増殖、分化に必要である。我々はこれまでに、Fgf10が転写因子C/EBPαと協調し脂肪分化を亢進することを解明したが、脂肪細胞増殖の機構は不明であった。そこで多くの細胞で増殖を制御するcyclin D、cyclin Dによりリン酸化され不活性化される細胞増殖抑制因子pRb、p130に着目し、Fgf10による脂肪細胞増殖機構を検討した。 野生型とFgf10欠損マウス(KO)18.5日胚のWATにおけるcyclin Dの発現をin situ hybridizationにより、また、pRb、p130の発現量、リン酸化を免疫染色法により検討した。さらに前駆脂肪細胞である胚性線維芽細胞(MEFs)を用い、cyclin D2発現、p130リン酸化に対するERKの関与について検討した。 野生型WATではcyclin D2が特異的に発現しており、Fgf10K0ではその発現は著しく減少した。また野生型に比較して、Fgf10K0ではp130の発現量は不変だが、そのリン酸化が著しく阻害されていた。一方、pRbは、Fgf10K0では発現量が著しく減少しており、リン酸化は変化しなかった。MEFsにFgf10を添加したところ、細胞増殖と共に、cyclin D2の発現、p130のリン酸化が亢進した。同時にERKの特異的阻害剤を添加すると、細胞増殖、cyclin D2の発現、p130のリン酸化が完全に阻害された。以上より、Fgf10はERKを介しcyclin D2の発現を誘導し、p130を不活化して細胞増殖を亢進することが示された。またpRbは脂肪分化に必須であることから、Fgf10はpRbの発現を介して脂肪分化を亢進する可能性が示唆された。
|
Research Products
(2 results)