2005 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレスで形成される活性型プロテインキナーゼCが細胞内情報伝達で果たす役割
Project/Area Number |
17790063
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山本 利義 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 助手 (00324939)
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Keywords | 分子生物学 / 細胞内情報伝達 / プロテインキナーゼ / プロテインキナーゼC / 過酸化水素処理 / アポトーシス / 蛋白質間相互作用 / セカンドメッセンジャー |
Research Abstract |
プロテインキナーゼCδ(PKCδ)分子種の活性調節としてジアシルグリセロールといった活性調節因子による機構が良く知られている。申請者は細胞に対する酸化ストレスにおいてPKCδ分子種はチロシン燐酸化、およびPKCδ分子種同士間の会合を伴う活性型変換機構により活性調節されていることを見出した。複数の活性調節機構の存在はPKCδ分子種が細胞内情報伝達機構で異なる役割を持つことを示唆している。本研究では細胞の酸化ストレス応答においてPKCδ分子種の各活性化機構が果たす役割を解析するため、COS-7細胞に過酸化水素処理を行い過酸化水素を除去した後のPKCδ分子種の挙動に焦点をあて実験を行い以下の知見を得た。1)PKCδ分子種は処理により速やかに活性型へと変換し、過酸化水素除去後2時間以上活性型を維持すること。2)PKCδ分子種同士の会合は処理後2時間以上持続しており、処理後2時間の時点ではPKCδ分子種の細胞内の蛋白量に変化は認められなかったこと。3)処理に伴うPKCδ分子種のチロシン燐酸化は過酸化水素の除去に伴い全体として減少していくが、過酸化水素除去後に新たに燐酸化が増加するチロシン残基が存在すること。 これらの結果はPKCδ分子種が酸化ストレス応答の細胞内情報伝達機構において下流因子に長時間にわたり情報を伝達し続けることを示唆しており、活性型PKCδ分子種の燐酸化を受けているチロシン残基が経時的に変化することはPKCδ分子種の下流因子が時間により変化している可能性を示している。
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