2005 Fiscal Year Annual Research Report
網膜における血管内皮細胞間ギャップの視覚化と血管透過性に対する薬物評価系への応用
Project/Area Number |
17790070
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
中原 努 北里大学, 薬学部, 講師 (10296519)
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Keywords | 網膜血管 / 血管内皮細胞 / 血管透過性 / ギャップ形成 |
Research Abstract |
糖尿病網膜症初期や軽症時では、網膜血管の透過性亢進が重要な病態であるため、網膜症の発症・進展予防には、糖尿病初期からの網膜血管透過性亢進の抑制が重要である。そのような効果が期待される薬物の開発のためには、網膜血管透過性亢進に対する正確な薬物評価系を確立し、糖尿病による網膜血管透過性亢進のメカニズムの詳細を明らかにする必要がある。そこで本研究の目的は、網膜血管内皮細胞間に形成されるギャップの視覚化ならびにその定量的解析を血管透過性亢進に対する薬物治療の評価系として確立することである。本年度は、網膜血管内皮細胞間境界部を視覚化することならびに網膜血管透過性亢進させるための条件検討を行った。 1)網膜血管内皮細胞境界部の視覚化:ラット又はマウスの網膜フラットマウント標本をCD31抗体ならびに内皮細胞のジャンクションプロテインoccludinに対する抗体を用いて蛍光免疫染色し、網膜血管内皮細胞境界部を視覚化する系を確立した。 2)網膜血管透過性亢進の条件検討:血管内に投与した蛍光トレーサー(FITC-albumin,蛍光microsphere直径100nm)の網膜への漏出を指標に、血管透過性亢進作用を持つ薬物や糖尿病動物を用いて網膜血管透過性を亢進させる条件を検討した。初め既報に従いmicrosphere(100nm)を用いたが、各種薬物や糖尿病により、顕著なmicrosphere漏出を検出することはできなかった。しかし、FITC-albuminをトレーサーとして用いることで、ストレプトゾトシン誘発性糖尿病ラット(発症後1-12週)ならびに薬物による血管透過性亢進を検出することができるようになった。糖尿病マウス(発症後12週)では、FITC-albuminでさえ漏出しなかった。今後は、これらの検討結果に基づき本研究を進めて行く予定である。
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